「アルツハイマーを知るために」 佐藤早苗著 新潮文庫 2007年

 この本は2003年、新潮社から出されたのを補足加筆して文庫本になった。
 はじめに アルツハイマーは21世紀の恐怖
 発端 ちょっとおかしい、と感じたら
 発病 アルツハイマーと診断されてから
 戦い 正常と異常
 最期 痴呆症の入院は他界
 アルツハイマー最前線 その後の取材で分かったこと

「発端」にある。「アルツハイマー病の第一発見者は本人である」この著者のお父さんがアルツハイマー病になられて、の様子をつぶさに見てきたからこその発言である。
「病変の現れ方は人さまざま、脳血管性痴呆に比べるとアルツハイマーは一つのパターンに纏められ、単純と言えば単純である。つまり血管性痴呆の場合には、血管が損傷する場所によって左側運動機能が不能になったりまた右側だったり、あるいは喋れなくなったり、記憶がなくなったりで、まったく違った症状が出る。ところがアルツハイマーの場合は、必ず全員が記憶障害から始まる。
 それにアルツハイマー病の特徴として、脳血管姓のように突然襲われるということがない。いつとはなしに記憶障害が始まって、じわじわと悪化していく。その過程で周囲の人が気づくわけだが、どの段階で気づくかは、病人の職業や知能程度、環境によって違う。
 はっきり言えることは、医者はアルツハイマー病の初期段階には無縁である。誰が見ても普通ではない、病的だという段階にならなければ、患者や家族は病院に現れないからである。もし現れたとしても、初期の初期に3分や5分の会話では専門医でも異常を見つけることは不可能であり、アルツハイマーと診断を下すのは更に難しい。
 というわけで結果的にも、医者よりは身近な人が裂きに異常を発見することが多い。」そうなのよ!お医者さんがわかってくれないのよ。それでもこの本の出版が古いためか「痴呆症」という呼び名のままだったり、他にもおかしいところがある。