カレーライスの日

 中学校の学級登校日にカレーライスを作って皆で食べる。去年からしている楽しい行事だ。お母さんも施設の先生も、弟や妹も来る。卒業して「特別支援学校」の高等部に行っている子も来る。4つの班に分かれることになり、黒板に貼り出してある。静かに座り「ゲスト」である弟妹と卒業生が自己紹介をする。
 いよいよ作業開始。畑でとれたなす・同じくたまねぎ・生徒のお父さんの作られたじゃがいも・私のにんじん・にんにく・肉・カレールー・包丁・ピーラー・なべ・炊飯器...「係を決めよう」と言いながら前の作業台に取りに行ったり、横の台から持ってきたり...洗う、切る、鍋でいためる。慣れたものである。各班にお母さんもいるので、教えてもらったりできる。
 煮込むところまで行ったら、生徒と弟妹と卒業生は「プール」に行く。
 ところが一人「行かない」と言って残っているやつがいて、こいつがくせものだ。「あくを取る」と言って鍋のふたを開けどおし。それでも、綺麗に煮えた。たまに「熱い!」と言うから鍋に手がふれたのだろう。「水で冷やし!」と言ってもやらない。まあ、たいしたことないか。
 次にお母さんが「アーッ」と言うので見ると、そいつが炊飯器のふたを開けている。「あけたらだめ!」と言ってしかられたのに、また別の炊飯器をあけた。悪気なくやってくれるので、始末に悪い。初めからプールに行かせればよかった。
 そうこうして煮えてきたので、火も止めて、洗える道具類を順に洗う。食器棚からお皿・スプーンを出して洗い、各テーブルに配る。冷蔵庫で冷やしておいた畑のミニトマトと巨大きゅうりを洗う。「このきゅうり、でかい!」と言いながら切るが、塩がない。「見せると無制限に使う」という理由で隠してあった!先生も苦労が多いねぇ〜。
 塩を振ってかじってみると「意外とやわらかい」「みずみずしい」とお母さんたちには好評である。またまたその生徒が塩を振りふりかぶりつく。切ってボールに入れたきゅうりにも、また塩を振ろうとする。お母さんの一人に「これでいいですよね?」と確かめてから「もう振ってはだめ!辛くなる」と言って取り上げ、ボールごと先生の研究室の冷蔵庫になおした。これでよし。