抜糸

 診療所に行く。先生の前に座り、看護師さんに腕に血圧計をあててもらう。「しゃべったらあかんで。血圧上がるで」と言うのに「何や?」と言っただけで、160や。あはは〜、言わんこっちゃない。
 先生に頭を縫った傷を見てもらう。ちょうど1週間だ。なおったことで抜糸をしてもらう。ベッドに顔が壁に向くように寝かされ、看護師さん二人と私とで、ばあちゃんの頭と手を押さえる。先生がピンセットで糸をつまむと「痛い!死んでまう!」と大さわぎ!私は「どうぞ、死んでよ」と言いながら「あ、抜けた」「あ、ぬけた。よしよし」「あと、1本」と言いつつ、抜糸は終わる。やれやれ。ガーゼを出されたが「取ってしまいます」「では、スプレーで消毒」消毒でまた怒る。あとは毎月の薬をもらい、廊下のベンチで待つ。近所の人が来て「ばあ、久しぶりやね。元気?」と言ってくれたが、話は通じない。
 帰りはとことこ歩く。私はメールを書いていたら、ばあちゃんは右へそれて、厨房の入口を目指している! 「どこ、行く?」ときくと「呼んどってや」呼んでへん、呼んでへん。
 帰って「休憩」と言うとベッドで寝てしまった。