「IQってホントは何なんだ? 知能をめぐる神話と真実」村上宣寛著 日経BP社 2007年

1.知能とは何か
2.知能を測る
3.知能は幾つあるのか
4.新しい知能理論
5.知能テストはどのようなものか
6.頭の大きさと回転の速さ
7.年をとると知能は衰えるのか
8.遺伝で知能が決まるか
9.知能の人種差と男女差
10.知能テストと勤務成績
 著者は富山大学教育学部教授で専門は認知心理学だそうだ。ところが「知能」に関する本がほとんどないと書いておられる。この本を読んでも難しくて私にはわからない。あとがきから引用する。つまり、上記の章を著者が説明されるには
1.「知能」とは何か?心理学者は延々と議論してきたが、十分なコンセンサスが得られていない。しかも、専門家と一般人とは考えることが異なるようだ。
2.「知能」はどうすれば測れるのだろうか。理論的に作成された精神テストは見事に失敗し、日常的な問題がどれだけ処理できるかという経験的な知能テストが成功を収めた。
3.ところが「知能」は一つの能力なのか、多くの能力の集まりなのか、という問題が生じた。
4.最近は、知能因子の探求が進み、システム論的な複雑な知能モデルも登場した。
5.現在、広く使われている知能テストは一昔前にできたし、「知能」の一部を測定するにすぎない。
7.年をとると知能は衰えるのだろうか。半世紀にわたる調査研究からは、希望がもてる結果である。
8.「知能」を決めるのは遺伝だろうか、環境だろうか。行動遺伝学によると遺伝の影響力が圧倒的に大きい。ところが、これは集団として分析した結果であり、個人のIQの値は環境の強い影響を受ける。
9.「知能」の人種差や男女差についての差別と偏見は、知能テストが文化的に公平ではないという明白な事実を、あえて無視するところから生まれている。
10.知能テストは勤務成績が予測できるか。アメリカの研究では予測力は25%くらいだが、日本では6〜7%と小さい。
 つまり「知能」はわからないことだらけ。私がなぜ、こんな本を読むかというと、こんなわからない「測定」で我々は分類されたくない、ということなのだ。