すきやき

 ばあちゃんを先に寝かせて、寝かせてから帰省した次男とすきやきをしよう。晩ご飯を食べさせたが、興奮して寝そうにない。すぐに起きてきたら、風邪をひくかもしれない。さっき応接間に次男がいるのを見たのだ。孫だとは思っていないから「兄ちゃん」がいるから「デイだ」と思ったかも知れない。
 しかたない。ばあちゃんの目の前ですき焼きをする。ばあちゃんの隣に私が座り「はいどうぞ」と入れてやったが、私がいない間に立ち上がり、自分でおわんに入れた。また私が横にすわり、皿に豆腐を入れてさましてやり、おわんが空になるとそれを移してやると「あらへん」と言う。催促するし、自分でさっと手を伸ばし、どんどん入れたいらしい。怒る、怒る。こんなときは、私は「ヘルパー」になるので「これ食べてからね」と言うのに、どんどん食べて、ついに夫に皿と箸をとりあげられた。「もう、おしまい。食べすぎ」と言われている。
 しばらく怒っていたが、また少し食べて、夫が鍋ごと隠してしまった。椅子の上に電気鍋を置き、隠して食べているのだ。笑えてくる。ばあちゃんは目の前の鍋がなくなったのでテンション下がってきた。
 夫は部屋に引き上げた。次男はしばらくいたが「むこう行きます」ばあちゃんが「あ、帰ってですのんか」「はい、ばいばい」と手を振る。次男は「デイのお兄ちゃん」を演じている。あはは、高校生のときからばあちゃんがぼけていくのを見ていて、大学1年のとき帰省して「大阪の子がきとる」と言われたのだもの、鍛えられたもんだ。