寝るには寝たが、今朝がとんでもない

 昨夜は「名前」「小学校」「住所」と読みあわせで、それなりにエネルギーも使い、風呂はデイで入ったから省略で、寝るには寝た。
 夜中は無事。
 朝になる前だ。ばあちゃんの部屋の戸がガラッと開く。廊下をスタスタ、台所のドアノブをガチャガチャ。でもトイレに入らない。廊下を戻り、応接間を開けて、すぐに閉めて、でも自分の部屋に戻らない。また来る。徘徊はあかん、寒いもの。
 ばあちゃんのベッドに連れて行き、また一緒に入る。「うふぁ、うふぁ」と言う。しばらくじっとしていたが「寝なさい」と言うと猛烈に拒否する。「わかりません」と言うので「わからんかったら、何か、困りますか?」と訊いてみる。「何にも困らへんでしょ?わからんでもいいでしょ?」「何にもわかりません」「何にもわからへんかったら、困りますか?」理詰め?そうではない。ばあちゃんのエネルギーがものすごいので「ガス抜き」のつもりで、話を聞いてやっているのだ。何でも言うてごらん。「わかりません、わかりません」だ。
 いったい、老人クラブのおばちゃんたちは「ぼけてしもぅたら、本人は何もわからへんから幸せや。世話するほうは災難や」なんて、どこでこんなとんでもない嘘を聞いてきたのだろう。私は聞くたびに「違うよ。本人は『わからへん、わからへん』言うて、不安で困っているんですよ。幸せなんてありません」と言うのだが、私に出会わない人は誤解したままだ。
 この前、神社の「とんど」のときに「あんた、もう60歳?老人クラブに入りよ」と言われたのだが、入っていろんなところに出没し、「ぼけとは何か?」と訴えてまわってやろうかと思う。でもきっと「あんたはうるさいから入らんでええ」と言われるだろうよ。なんで、話がこんなところまで、エスカレート?ばあちゃんが寝ないから私の頭がぐるぐる回るのだ...
 ばあちゃんは私が一緒に布団に入ると、一応鎮まる。しかし、暑い!電気毛布が熱い。「寝なさい」と言っておいて、自分の布団に戻ると、5時10分前だった。
 次にばあちゃんが起きてきたのが6時。またまた布団に入り、繰り返し。
 その次は7時50分だったので、トイレ・洗面・着替え・ご飯でまた布団に入れた。それが8時15分、なんとか「ちりとてちん」に間にあった。やっと静かになって朝ご飯と洗濯だ。それでも、8時45分にもう起きてきたから今日はもう、あかん!