診療所で、採血

 毎日、デイとステイに行くとありがたいが、診療所に行くひまがない。今日はデイのお迎えを断り、歩いて診療所に行く。
 玄関の自動ドアを入る。私が先に上がり、ばあちゃんにスリッパを出して並べてやって、右足をはいたとき、ばあちゃんが後ろ向きにこけた。なんで?突然のことで、手を貸せなかった。一人でこけたからどこも打ってはいないようだ。右足はスリッパで、左足の靴をぬごうとして、バランスを崩したのだろう。びっくりした。
 ばあちゃんは起きて、スリッパをはき、中に入る。怒る、怒る。血圧を測ると、160ぐらいあったらしい。
 先生に巨大写真を見ていただいた。「ばあちゃん、これ、誰?」と聞いてみたが、怒っていて「知りません」ばかり。「今日は答える気はないみたいね」ということで、やめる。「水分を控えると、薬の血中濃度が変わったりするので、久しぶりに採血しましょう」と言われ、処置室に行って、腰掛けて待つ。
 ばあちゃんよりも年長のおばあちゃんが車椅子に乗ってこられた。先生に注射をしてもらって「ありがとう」と手を合わせておられる。頭脳明晰かも知れない。93歳だそうだ。「走ったら、うちのばあちゃんのほうが勝ちそうですね」と言うと「そうね」と先生が言われた。あはは。
 そこへ男性職員が顔を出し、二言三言、看護師さんに言って行ってしまったら「なんにも言わんと、わかるか!」とばあちゃんが怒る。これが怒る原因か?聞こえないからだ。ばあちゃんにいちいち「〜しますからね」と断らないといかんらしい。あはは。
 次から次から患者さんが来る。連れて来られる。皆、しゃべらない。「待っていても手があかないので、採血を先にしましょう」と決まり、とにかく3人でおさえつけて採血する。「痛い!痛い!」と怒る。「大丈夫」とか「ごめんね」とか言いながらする。ばあちゃんが看護師さんにかみつこうと口を開けたので、私は口をがばっとおさえた。本気でかみそうだった。なんとか採血は終わる。
 ばあちゃん紙芝居は受付でも、薬剤師さんにも見てもらった。