事故比べ

「ステイに行っていて、ころんで骨折したんです」よくある話。
「家にいても怪我はします。うちはドアをバーっと開けたら、母がいて、おでこを打ったんです」
「うちも、ばあちゃんをひっぱったらこけて、頭から血が出て、お医者さんに行ったら『ばあちゃん、えらいこっちゃ。あたま、割れてる。縫うたる』夫が頭を押さえてたら、ばあちゃん『痛い!死ぬ』私が『どうぞ、死んでよ』言うたら、先生と看護婦さんが笑う」
「あんたら、何の比べ話?」「怪我比べ」「不幸比べ」あはは〜。
 笑ってごまかせ、介護家族。ただし「わらってごまかせ」は「自分の失敗を笑い飛ばす」のが、極意。人の失敗や欠点を笑うなんてすると「破門」にんげんのクズのすること。
 怪我はどこにいてもあるのだ。「危なかった〜。あやうく殺すところだった」
 でも、怪我したところがプロのいるところなら、その後の対処と家族への連絡のあり方が問われるのだ。誠実にやってもらえていたら、裁判所に訴えたりはしないものだ。