「呼んできまほか?」

 帰ってきたばあちゃんをとりあえず寝かせた。下におりて苗箱を洗っていたら、夫から電話。
「ばあちゃんが起きた。うろうろしとる」もう〜、しゃあないなぁ。連れにあがって、一緒におりて「洗っているのを見てて」というわけだ。敷き紙も洗い終わった。家に帰り、また寝かせた。さすがすぐに起きて台所に来た。
 洗濯をしながら古新聞をくくっているとばあちゃんがいろいろ騒ぐ。「呼んできまほか?だれぞ、おってや、思いますねん」「どないですやろ?おばちゃん、たのんます」「呼んできたらどないですやろ?」ついに立って見に行った。応接間に行ったらしい。誰もいないので戻ってきて夫の部屋に行く。連れ戻してまた座らせると6時20分。
「おってやなかったら出会われへん。どないや?助けておくなはれ」なかなかしつこい。訊いてみた。「誰を探してるのん?その人の名前、言うて」一瞬、真顔になって「○%」なんと、それは自分の名前だ。「それはばあちゃんの名前やろ?誰を探してるのん?」「??」考えずに口だけ動いてるのかな?
 ふと見ると、くくりかけの「折り込みちらし」の束、私は紐の端を結んで、ゆるゆるにして横から差し込んでいたのに、束に合わせてくくりなおしてある。ばあちゃんの「おしごと」私がちょっと台所を出たすきにいろいろやってくれている。トイレから戻ると、ばあちゃんは缶から出したお菓子の包み紙をほどいていた。食いしん坊に戻った!まだまだ残存能力はあるなぁ。使ってあげねば。