「国民が安心できる医療を目指して」国民医療推進協議会

1.世界がお手本にする日本の医療
 世界保健機構(WHO)が公表している各国比較データによると、日本の平均寿命、健康寿命は男女とも世界1位。乳幼児死亡率の低さは、アイスランドシンガポール(同着1位)に次いで世界3位。
 このように高い成果を上げてきた日本の医療は、3つの大きな柱で支えられています。 
 +国民皆保険・・・すべての国民が公的な医療保険に加入している。
 +フリーアクセス・・・保険証さえあれば、何ら制限を受けることなく、全国どこの医療機関にも自由にかかることができる。
 +現物給付・・・必要な医療は患者自己負担を支払うだけで受けられ、かかった費用は公的医療保険から医療機関に支払われる。費用の心配をせずに医療機関に行くことができる。
 外国からは日本の医療保険制度が「お手本」と考えられている。それが今、国の誤った政策により崩壊の危機に瀕している。
2.お年寄りが行き場を失おうとしています。
 長期療養のためのベッドは、医療・介護合わせて38万床あるが、厚生労働省は、2012年3月までに15万床にまで減らす計画をたてている。
 医療用の長期療養ベッドに入院している患者さん(25万床)のうち、医療の必要性が低い人は介護施設か在宅介護に移ってもらう。が、該当者の中には、医学的な管理・処置が必要な人、在宅介護が家族の事情などで無理な人がいて、このままでは、医療難民が2万人、介護難民が4万人発生する危険性がある。
3.医療機関の人手不足が深刻化しています。
 長年、医療費が抑えられてきたために、医療の提供体制にさまざまな歪みや綻びが生じている。
 その一つが、医師や看護師など医療従事者の不足。
 日本の人口1000人あたりの医師数は、経済力(一人あたりの国民総生産)が一定水準以上の国々の中で最下位。
 これでは、医療を必要とするお年寄りが急速に増加する高齢社会を乗り切れない。
 医師不足が特に深刻なのが、産科と小児科。
 2006年4月に入院患者に対する看護師の数が多い病院ほど収入が多くなる仕組みを導入したため、看護師の都市部・大病院への集中と、地方や中小の病院のますますの不足。
4.医療における格差が広がりつつあります。
 国は財政の厳しさを理由に患者さんの自己負担を引き上げてきた。
 1997年9月・・サラリーマン本人2割負担
 2001年1月・・高齢者1割負担(診療所は定額負担との選択制)
 2002年10月・・高齢者完全1割負担(診療所における選択制廃止)一定以上の所得がある場合は2割負担
 2003年4月・・サラリーマン本人3割負担
 2006年10月・・現役並み所得の高齢者3割負担、 長期療養ベッド(医療用)に入院する高齢者の食費・光熱費の全額自己負担化
 2008年4月には、70歳から74歳までのお年寄りの自己負担引き上げ(1割から2割へ)が予定されている。
 医療費の一定額までを全額自己負担(保険免責制)にする案も浮上。
 自己負担の増加は国民の家計を圧迫。経済的に余裕のない人は、病気になっても気軽に医療機関にかかれなくなるおそれ。
5.日本の医療費は決して高くありません。 
 日本の国内総生産(GDP)に対する総医療費の割合は、先進諸国の平均よりも下の水準。
 2003年でみると、1位アメリカ、2位スイス、3位ドイツ、4位ギリシャアイスランド、6位フランス...17位ハンガリー、18位日本・ニュージーランド、20位スペイン、21位イギリス...
6.日本の医療を守るために、今こそ声を上げなければなりません。
 私達、医療関係者は、国民の皆さんとともに「格差」に苦しむことなく、安心して高齢期を迎えることができる社会づくりを目指します。
*日本の医療保険制度の長所である「国民皆保険」「フリーアクセス」「現物給付」を守ります。
*医療格差に直結する自己負担の引き上げは認めません。医療に必要なお金は、国が責任をもって用意するべきです。
*安全で質の高い医療の提供が行なわれるために、国は医療機関が十分な医師、看護師などの医療従事者を雇えるだけの財源的手当てを行なうべきです。
*お年寄りの増加に伴って、病院・診療所のベッド、介護施設、在宅サービスなどの必要性は高まります。国は、ベッドなどの制限を直ちに止め、お年寄りの受け入れ先の整備を進めるべきです。
*安心して子どもを産み、育てることができるよう、産科医療、小児科の充実・強化を図る必要があります。

 (これは冊子というには薄い、プリント集だが、よくわかる説明だと思う。医療関係者がこういうことを言ってくれるのが良いことだと思う。)