長尾先生の講演会で

 なんで今頃、書いているのか?もう1か月もたって、メモを見ても思い出せないところがある。
 私は中央の前から2列目に席をとっていたが、休憩時に一番前に移動してきた人がいる。二人は去年9月、関西学院大学で行なわれた「おむつはずし学会 in 西宮 2007」(つどい場さくらちゃん)の帰りにバス停で出会い、それ以後何度か「つどい場さくらちゃん」講演会で顔を合わせる、枚方のお姉さんだ。
 「今日は持ってないの?」と言われ、1冊さし上げて、ばあちゃんの巨大写真も見せた。「いつも電車の中で読んでいて、プッと噴きだしそうになり、笑いをこらえるのに困るのよ」と言われる。なんで?本人は至って大真面目に書いているのだ。それが「おかしくて」と言われても...去年の秋から見ていたNHK連続テレビ小説ちりとてちん」の主人公みたいではないか?おじいちゃんが主人公に言う。「きよみ、お前はおもろい子や。いっぱいわろうて生きていき」人が一生懸命生きていると、見ていたら「おもろい」という発想が好きやなぁ。
 その隣は大柄なお兄さんだ。「これ、見たことある?」と「たたかうおばあちゃん」を出すと「前にもらいました」なんや、リピーターかいな?まぁええわ、で新作をプレゼント。
 また、枚方のお姉さんが「すももちゃん!速記してるの?」と言う。「違うよ、普通に話を記録しているだけ」と言って見せる。もらったけど、配りきれずに残ってしまった「ちらし」の裏にどんどん書いているだけだ。録音機を買ったが、使いこなせぬまま、眠っている。それに録音してテープ起こしをするのは、意外にしんどいのだ。何度も聞きなおし、書くぐらいなら、自分でメモをとればその時に少しは記憶されるし、メモは1枚が上から下まで見通しで、それを横に並べれば、時間の経過で話の流れも見通しだ。まるちゃんのギャグだって、ちゃんと挿入してある。でも、万能ではなく、自分で見ても思い出せない場面も多い。
 またお姉さんが「すごいね。書くのが速いの?」と訊かれるので「高口光子さんの早口も大丈夫よ」それは本を読んで予習するから言われることの見当がつくのだ。「書けない人のもあるよ」裁判傍聴の検事さんの「読み上げ」なんか、絶対に書けない。書けないように早口で言うてるんと違う?専門用語がわからない。これで「裁判員」に選ばれても「言うてる内容がわかりません!」て言うてええんやろか?「不謹慎」て怒られるんやろか?
 
 元にもどり、今、長尾先生の講演記録で思うのは2つ。

1.かなり異色な存在である。今まで書いたところでも「生きているうちに介護保険で入浴したら1200円、死んで湯潅したら8万円」なんて言われるお医者さんに初めて会った。お金の話。
 国会の勉強会でも「ほえてきた」と言われる。容貌はソフトで紳士で笑顔が「すてき!」なのに、似合わぬ、言葉。やはり異色だ。そこが魅力だ。

2.長尾先生のもう一つの魅力は、会場で質問のときだ。質問よりも「語る」人がいる。長々と「私はこうしてきた」と話す。
 時には「今の医療がおかしい」とか「こんなひどい医者と看護師にあたった」と言う。それを長尾先生と黒田さんはまともに受け止める。否定はしない。
「よく発言して下さいました。そうなんです。我々は真摯に受け止め、改善していきます」「後輩を育てるために役立てます」
 当たり前でいてできないことなのだ。だから政治がおかしくなった。