会話が成立した

 デイから帰る。何やら声が聞こえるが、ばあちゃんが家に入ってこない。見ると、まだ車に乗っていておりたがらない。スタッフさんは優しいのでおりる気になれないらしい。私が「ばあちゃん!おりて!」で成功。助手席からおりるのに、取っ手を持つが、足をかける場所を忘れたらしい。変なことしてると、ぶらさがるよ。
 昼寝をする。1時間ほどして、ばあちゃんが起きてポータブルトイレを使っている音がする。見に行くと「帰ります」と言う。これはあかん。
 トイレに行って手を洗い、牛乳を飲んでから畑に行く。昨日の続きの草引きだ。
 ところが、今日は鎌を使わない。手でぐんぐん引いている。「ばあちゃん、鎌は?」と訊くと...後ろのほうに残っているので「取ってきて」と言うと取ってきた。「鎌で引き」と言うが、すぐに置いてまた手で引く。 
 ばあちゃんの畝はシャクヤク、私が引いている畝は弁慶草。土が柔らかいのだ。前にテレビで「不耕起栽培」を見たとき「手抜き農業です。草の中に野菜を植えますが、草の根が耕してくれて、土はフカフカです。ときどき、刈り取ってその草を野菜の根元に置くと天然の肥料になります」と言っておられた。どこかの大学の教授で自説を実践して広めていこうという方だった。うちはそんなたいそうなものではなく、単に手がまわらないだけだ。
 突然、ばあちゃんが「あきません!できません!」と言う。「何?」と見ると、大きな草が伸びている。「ここ、引いて」と言うので「これか?」たしかにかたい。「かたいな。よいしょ」と引くと、ばあちゃんが「ありがと」!!!おっ!会話が成立した!