「かいご学会 in 西宮 2008」分科会レポーター原稿

 皆様、こんにちは。私はすもものペンネームで「たたかうおばあちゃんブログ」を書いています。これがばあちゃんです。昨年4月13日に東京の芳林社の社長川上一郎さんが取材に来てくださり「ベターケア」誌に「たたかうおばあちゃん」をのせていただきました。写真は大東照男カメラマンが撮ってくださいました。「これ、誰?」と訊くと「私です〜」「これは?」「私です」「これは?」「知りません」もう一度やると「これは?」「私です」「これは?」「私です」「これもおばあちゃんですか?」「はい」と言います。「大丈夫。娘を忘れても生きていけます。衣食住すべてを忘れるから生きていけない」
 ばあちゃんは現在、ショートステイと2か所のデイサービスを利用しています。
 ばあちゃんは80歳をすぎるころからおかしくなってきました。会場の皆さん、家族はわりに早い段階でばあちゃんのぼけに気づきます。そんなとき、どこへ相談に行くと思いますか?お医者さんに言うと「そんなことはないでしょう?」とわかってくれません。私の場合はヘルパーをしている友達でした。家族が介護の入り口で困ったとき、まず相談してみるのは介護のプロの皆さんなのです。頼りにしています。是非、力になってあげてください。
 さきほど早苗さんが言われた「暴力を使う人はお断り」「薬でコントロールできない人はお断り」「集団生活のできない人はお断り」ばあちゃんはこの3つをすべて持っております。ステイを利用し始めた頃は「不穏になりました」と連絡メモを持ち帰りました。「普通の言葉で言ってください。機嫌が悪い、でいいのではありませんか」と申し上げました。「職員が気づいたら止めるのですが、昨夜は沸騰しました」と言われたときは「たたかうおばあちゃん」に「ばあちゃんは やかん か?」と書きました。「ばあちゃんはすぐに怒ります。精神科に行って薬をもらってきてください」とケアマネさんに何度も言われました。「ばあちゃんは検査入院したときに睡眠薬が効きませんでしたからお断りします」「ばあちゃんはたたいたりつねったりします」「それは耳が聞こえなくて、どうしていいかわからなくて不安だからです」「集団生活になじみません」「個別対応をお願いします」こうしてその都度お話しているうちに、うまくいくようになりました。
 「たたかうおばあちゃん」をあちこちに送ると、恩師が「あなたは たたかうおばあちゃんを守るためにたたかっているのですね」と書いて下さいました。その武器としてブログを利用したかも知れません。しかし、たたかう相手はけっして施設で働く方々ではありません。
 去年の「おむつはずし学会」で私は皆さんに申し上げました。「たたかうおばあちゃんブログを読んでください」読んでくださいましたか?「今すぐできることを提案します。今、あなたの目の前のじいちゃん・ばあちゃんのおもしろいことをみつけて、あなたも書いてみてください」どなたか、実践してくださいましたか?
 私はこの1年でやってみました。鳥海先生におききしました。「ばあちゃんはデイから帰ると夜は布団のなかで手拍子をして眠りません。どうしたらいいですか?」先生は「デイサービスのスタッフさんにばあちゃんの様子を話して、困っているのだと訴えてみてください」やってみました。「カラオケが好きなばあちゃんですが夜も布団の中で一人でカラオケをしていて眠りません。興奮をさましてから帰らせてください」デイではカラオケをやめました。興奮はとまりました。一人のスタッフさんにぴったりくっついて甘えるようになり、デイでの生活が安定してきて、家に帰っても怒らなくなりました。大成功です。
 もう一つは何年もかけて「たたかうおばあちゃん」を配り、ご近所で「ばあちゃんがぼけたのでお願いします」と訴えているうち「介護の会をします」と言うと集まってくださるようになりました。この二つが成果です。
 一人で悩まないでみんなで話し合い、一緒に考えてやっていこうと思っています。