「堂々と生きられる社会つくる」朝日新聞6月27日 be on Saturday フロントランナー「反貧困ネットワーク事務局長 湯浅誠さん」

「『溜め(ため)』がない貧困は自己責任ではない」
 ・・(記者からの問い)「すべり台社会」「貧困ビジネス」など象徴的な言葉を発信しています。そのなかで「溜め」もカギとなる概念ですね。
 (湯浅さんの答え)お金、人間関係、仕事、自信・・・。目に見えないけど人を包んでいるものが「溜め」。外からの衝撃を吸収する働き、栄養源としての働きがある。貧困は溜めがない状態。もやいに来る人の多くは自分を責め、身を縮めている。そんな人に「あなたの努力が足りない」なんて言うのは、最後の溜めを奪うだけです。
   ゾーン広げたい
 ・・そうした「自己責任論」と長い長い闘いを続けています。
 戦後最長の景気拡大と言われた間も相談者は増え続け、多様化した。野宿者、若者・ネットカフェ難民・・・。背景には雇用の劣化、社会保障の削減があるのに、社会は自己責任で片付けてきた。「あんたに原因がある」と言われ、反論できる人はそうはいない。自己責任論は相手を黙らせ、問題を閉じ込める。その結果、批判は 社会や企業に向かない。

・・・湯浅さんのプロフィル
 2000年炊き出しの米を集める「フードバンク」
 2001年NPO法人「自立生活サポートセンター・もやい」
 2003年企業組合「あうん」で便利屋開業
 2007年「反貧困ネットワーク」結成を呼びかける(代表・宇都宮健児弁護士)
・・・著書
 「反貧困ー『すべり台社会』からの脱出」岩波新書
 「どんとこい、貧困!」理論社よりみちパン!セ」シリーズ