「ベターケア」3号を読んで

 「百人百色の介護」の最初につけられた編集部の方の6行の紹介文が、2号、3号と少しずつ違っていく。読者へのメッセージとして少しずつ前に進んでいく。
 3号では「介護する人がおかれた環境は、その人の数だけ違いがあります。社会的なケアシステムが整っているかいないかは、地域によってかなりの差があります。それを有効に活用するか否かはそれぞれです。しかしプロの介護者とコミュニケーションを図ることで、お互いさまざまなことを学び、新しい情報を得ることができるのも確かです。いまよりほんの少しでも先に進む、それは大切なことだと思います」
 
 また3号で印象に残ったのは「明日に向けてのモノローグ」だ。「人はいつか老いて、『がんばりきれん』ときを迎えるのだと、死装束をつくりながら娘達に伝えたい」
 大原羑子さん(服飾デザイナー)の死装束は柔らか布地でそっと包むようなデザインだ。「魂のいれものであり、もはやぬけがらになった肉体をそっと包む優しい貝殻のような服」だそうだ。
 うちのばあちゃんの場合は、弟のお嫁さんや甥っ子のお嫁さんたちが「これだ、これだ」と言いながら選んだ紋付の喪服だったのだから、それでいいのだ。選んだ人たちが満足したのだからいいのだ。