「自閉症・環境・発症論」ジャン・M・ロンリー著 現代書館 2008年

1.自閉症を取り巻く状況
 自閉症とは//スイスの救助犬の話//エミール//ピアジェの主張//日本のエリートの世界
2.無量理論
 無量理論とは//無量理論の検証
3.テレビと自閉症
 テレビ・ビデオ悪玉論//テレビの影響
4.新唯識
 無量唯識論//無量唯識論の検証
5.脳神経と自閉症
 脳神経学の最近の動向//脳神経と概念//脳神経と自閉症

 朝日新聞の第1面の下にこの本の広告を見たとき、私は「そんな!」と思った。教師をしていて出会った「自閉症」と言われるこどもたちに、私は「親の育て方で自閉症になったとは思えない。脳の対人関係を司る部分に傷があるのではないか?」と思っていたからだ。
 ロンリーさんは「始めに」の中に「私の56年にわたる日本での滞在に終わりを告げるときが近づいており・・・」と書いておられる。そして第1章で「日本では自閉症スペクトラムの成因は『脳の生物学的基盤にある』『育て方は関係ない』と主張する人が医学界には多く存在し、むしろ専門家の間ではそれが常識になっています。しかしその根拠は、全く存在しないのです。『脳の生まれつきの特徴に原因がある』ということの論証は、何一つなされていないのです。『育て方に関係ない』ということは、何一つ証明されていないのです」
 そうだったのか!証明されていないのか。
 人間は生まれてすぐの赤ちゃんのときが大事なのだそうだ。