介護者つなぐ全国組織設立 (よみうりオンラインから)

来月、権利保障や支援法訴え
 介護している人の権利を保障し、支援する法律制定なども目指す「ケアラーズ連盟」が市民団体の手で設立される。
 介護される人の年齢や、病気や障害の種類にかかわらず、介護者(ケアラー)をつなぐ全国組織の設立は初めて。6月7日に東京都内で発足集会を開く。
 設立発起人となっているのは、元衆議院法制局長の上田章さん、NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジン理事長の牧野史子さん、静岡大教授の三富紀敬さんら。障害者や認知症の人の家族、介護者支援に関心のある研究者らが賛同している。
 介護者が自分の生活を犠牲にせずに仕事や勉強を続けられ、その経験が生かせる社会にすることが目標。実態調査のほか、相談・情報提供を手がけるセンターの設置や、介護期間中の年金保障などを国に働きかけていくという。
 少子高齢化の進行や家族構成の変化で、家庭の介護者の姿は様変わりしている。国の調査では、在宅で主に介護する人の3割は70歳以上が占め、介護や看護のために離職や転職を余儀なくされた人は年間約14万5000人に上る。
 発起人の一人で日本女子大教授の堀越栄子さんは、介護者への直接的な支援が政策課題になっていない先進国は日本くらいという。「日本では、身体的、精神的、経済的な負担を負わせたまま、介護者を放置してきた。介護する人とされる人が共に尊重される社会を目指したい」と話している。詳しくは事務局(ファクス03・5368・1956、アラジン内)へ。
(2010年5月17日 読売新聞)