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「一日中介護」が半数  京の「家族の会」アンケート
 「認知症の人と家族の会」(京都市上京区)は、介護生活の実態把握のため、会員らに実施したアンケートの結果をまとめた。在宅介護で、「一日中介護」と答えた人は半数に上り、気の休まらない介護の現状が浮かんだ。8割以上の人は、自分や家族が認知症になった場合の暮らしについて不安を抱えていることも分かった。
 アンケートは、同会発足30周年と介護保険制度施行10年となった2010年にした。会員ら介護経験のある1662人から回答があった。
 介護時間は、在宅で介護する人の51・3%が「ほとんど一日中」と回答。施設入所する家庭でも28・6%が同じ答えだった。在宅介護者のうち42・9%が睡眠不足を訴えている。
 介護者の60歳以上が58・2%に達し、高齢化が目立った。男性の割合が32・2%と1981年の調査結果と比べ、約4倍に増加した。配偶者の割合が半数を超え、夫が妻を介護するケースが増えたと同会は分析している。
 介護サービスについて、訪問入浴介護や福祉用具の貸与など7項目で「満足」と答えた人が8割を超えた。一方、ショートステイ介護保険施設の入所などで「不満」の声もあった。ヘルパーの技量にばらつきがある▽希望日に利用できない▽費用が高い−などが理由に挙がった。
 同会は介護家族以外も対象に初の意識調査を実施し、3865人が協力した。36・8%が「家族・親戚に認知症の人がいる」と回答。自分や家族が認知症になった場合、「安心して暮らせる」は4・7%にとどまり、「不安」が87・1%だった。
 不安の理由について、本人や家族が望むケアが受けられるか心配▽認知症を受け入れられるか不安▽介護者が孤立しがち−など、154の意見が集まり、認知症が人ごとではないことを反映する結果となった。
 同会は「認知症を取り巻く環境は大きく変わった。今後も、認知症の人や家族が生活しやすい社会を目指したい」としている。
2011年05月06日 13時44分京都新聞 市民福祉情報・オフィス・ハスカップ