「西東京市の女性の聞き書き集 2010」西東京市の女性史を編さんする会・編集 特定非営利活動法人・生活企画ジェフリー・発行 2010年

第1章 聞き書き
田無地区北
*農家に嫁ぎ、そして番台に座って45年__男世帯に嫁にきて、わたしは大黒柱  尾林セキ
*全国自治体初の『男性職員にも育児時間』を条例化に__市長を追って直談判  土井安代
*初代女性議長の原点は戦争と国鉄__議会では、大学へいったほどの勉強を!  白井智子
総持寺『大日堂斎場』はわたしの発案__寺に生まれ、寺に嫁いで  小峰喜和子
*障害者の居場所を求めて__息子とともに歩んだ日々  幸谷秀子
在日コリアンとしての誇りをもって__BC級戦犯にされた夫とともに  権正順
*老舗料理屋の看板を背負って__嫁は働く機械みたいだった  野島照代
田無地区南
*婦人会から田無町初の女性議員に__社会福祉協議会初代事務局長も14年  野本ふじ
*公民館『婦人学級』の1期生__職場の待遇改善にも一肌ぬいで  杉本リン子
*PTA活動で目覚めたのかな__公民館を拠点に学び続けた人生  岸みよし
*農家に生きて80余年__戦争中は大変だったね。戦後の公民館活動は楽しかった  矢ケ崎タカ
フォークダンスで地域を元気に__今も現役、研鑽の日々  山辺静枝
*いろいろやってきたけど、根っこは一つ__命を傷つけないこと  落合ヒデ
柳橋保育園と歩んだ35年__『とねりこ』で地域に生きる  村山悦子
保谷地区
*母の支えで続けられた教師生活__気負わず、力まず  秋山喜代子
*農協に婦人部ができてよかった__頑張ってきたの。農家の長女として、嫁として  岡山ハマ子
*わたしは市議で、夫は市長__地域に根づく活動は途切れることなく  都丸泰江
*『どんぐり』はわたしの大学__戦争体験を原点に、平和と平等を願って  佐藤桂子
*ボランティアで交流。元気になれる__地域はとても大事だと思います  濱松祥江
*ろうけつ染めも郷土史保存も、信じた道を一直線__自分の人生、楽しく行きたいですね  増田法子
*『ひばりが丘団地』にくらして50年__新生『ひばりが丘パークヒルズ』へ  椿鈴江・坂本京子

第2章 語り継ぎたい女性たち
山川菊栄とともに 婦人問題懇話会 初代事務局長の菅谷直子さん  長瀬由美子
*『どんぐり』を34年間発行した鳥海志げ子さん  斎藤三枝子
*わが家をグループホームに 地域の高齢者福祉に尽した阿部千寿子さん  安岡厚子
*地域の人びとを紡ぐために尽力した植木慧子さん 神島由紀子

第3章 年表・参考文献など
*年表 女性とまちの動き
*参考文献・資料一覧
*編さんを終えて メンバーの感想
*皆さまに感謝 協力者一覧
*あとがき

 もくじのページの左下に、茨木のり子さんの詩「自分の感受性くらい」が載っている。茨木さんは、西東京市東伏見に暮らしておられたそうだ。

 この本は社会福祉法人・浴風会「介護支え合い電話相談」室長・角田とよ子さんにお借りした。
 角田さんが副理事長を務めておられるNPO法人「生活企画ジェフリー」のホームページに載っていた。
「行政主宰の女性史編さんがほとんどのなか、
NPO法人による企画とそれに応えた行政の協働によって創られれたこの冊子は
全国的にみておそらく初めてのものだろう    
              監修者 石崎昇子」
と表紙に書かれている。
 「ジェフリーが創った本なのだ」ぐらいに思って、注文したら「大評判でもう無いのです。お貸しします」と書いて送られてきた。
 ときどき出して、ちょっと読んで、大事にまたなおしていた。それでも、稲刈りも終わり、いくらなんでももうお返ししなくては・・・それなら、年に一度の今しかない「ひらたねなし柿の焼酎渋抜き」を入れて送ろう。
 それで、読み始めた。途中までいくと夢中になった。大切に大切に、読ませていただきました。
 西東京市の女性史を編さんする会の方が二人・三人のグループになって、その方のお宅にお邪魔して、向き合い、録音して、それを文章になおし、また集まって、読みあい、話し合い、そうして創られたこの本は、とても中身が濃くて、またそっと、ページを閉じました。
 「品切れ」などと言わず、是非、再版してください。そのときは、買いこんで売りまくりたいと思います。
 中に、お名前を存じている方がおられます。「サポートハウス年輪」の安岡厚子さんです。
 「たたかうおばあちゃん」が存命のころ、私はコピーした冊子「たたかうおばあちゃん」をあちこちに送っていました。高齢者介護情報誌「ベターケア」に紹介された、介護のプロの方にも送りました。中にはお返事を下さる方がおられて、その一人が安岡さんでした。こんな「ただの介護者」にも丁寧に応対してくださる方がいるのだと、思いました。そしてまた頑張らねばと思ったものです。
 西東京市は次男が学生時代に住んでいた町です。私は住居探しと入学前の引越しについて行っただけでした。池袋から西武線に乗って、保谷でおりる。それだけでした。それだけで「保谷という地名がなつかしい」おかしなものです。18歳で手元から巣立つと、住んでいるその土地の方々にお世話になって大人になったということです。それなら私も自分のまわりの若い人たちに親切にすれば、世の中はまわっているのだということです。

 そんなどうでもいいことはさておき、この本の感想は、やはりすばらしい。
ひとりひとりが、すばらしいし、いとおしいし、書き残しておくことがすばらしい。
 私も「たたかうおばあちゃんが行く!」を本にできてよかったと思うのです。今も、会う人に「ばあちゃんの介護ブログを本にしました。でも、介護だけじゃないのよ」と言って売り込みます。売れませんどころか、あげてしまうことが多いかな?昔の暮らしも、今の自然の移り変わりも、いろいろなことを詰め込んだから、いとおしい。

 この「女性の聞き書き集」に出てくる人たちのお話には「介護13年」とかザラにあります。私のまわりのおばちゃんたちなら「紙おむつもないし、バスタオルをまいてねぇ」とか言うところです。電気洗濯機もなかったでしょう。冷たい水で洗っていたし、働き、家事をして、育児をして、介護もして、という時代だから、どれだけ大変、と思うのに「介護13年」なんですものね。はぁ〜、半端じゃない、と思うのみです。昔の戦争の時代をかいくぐってきた人たちは、半端じゃなく、強くて、たくましくて、すごい。でも、すごくなくても、強くなくても、いいんですよ。「普通です」と言う人もまた、すばらしい。「病気ばっかりして、大切にしてもらった」と言う人もいていいし、生きていればなんでもいい!それだけでいい。
 
 読んだだけで申し訳ないです。でも、聞き書きをなさった方々の心には、大きな大きな財産になったと思います。お疲れ様でした。
 そして最近送られてきた「ジェフリー通信」には「七夕懇談会。7月7日、聞き書き集話者と久しぶりに語りあう同窓会開催」とあった。ますます素敵!
 こうして仲間と一緒に何かを出来ることは素敵です。私も「紫陽花の会」の仲間とがんばろう・・・。いちいち自分の宣伝も混ぜてごめんなさい。