NHKスペシャル「ここまできた!うつ病治療」

 2月12日(日)午後9時〜9時49分 NHK総合 
 私は15日深夜の再放送をみた。
 うつ病は脳の病気だ。そのメカニズムと薬に頼らない最新治療。
 アメリカのジョシアさんの例。薬が効かないうえに、吐き気と言う激しい副作用に悩んでいた。ニューヨークのクリニックに行き、「もうだめだ〜。死んでしまいたい」と訴える。診断を受け、うつ病専用の装置で治療を受ける。「経頭蓋磁気刺激(けいとうがいじきしげき)」というもので、頭の前の部分、「DLPFC(背外側前頭前野)」を探して、そこに間隔をあけながら、40分間、磁気刺激を与える。これを毎日続ける。つまり、うつ病で低下している脳を正常な状態に戻すために刺激を与える。
 ジョシアさんがこの治療を2回受けて、3日目には、顔つきが変わった。「2回の治療で朝食を食べられるようになったよ。今までは食べられなかった。」生活のリズムがもどってきたのだ。「たまに涙が出るが、2回で効果を感じています」と言う。
 ハーバード大学パスカルレオーネ教授が登場。「15年以上研究を続けている。前頭葉の血流が少ない。そこで刺激をあたえると、血流が増え、改善につながら。
 DLPFCというのは、考える、とか、判断するのを司る。またもう一つ大事なのが、脳の奥の方にある「偏頭体(へんとうたい)」で、人が生きるための本能の鍵を握っている。不安や恐怖などのネガティブな感情を握っている。偏頭体が暴走すると、不安がとまらない。これにブレークをかけるのが、DLPFCである。つまり、DLPFCの働きは2つあって、判断や意欲を持つことと、偏頭体の暴走をおさえること。そこで、DLPFCを刺激して、不安や悲しみをやわらげるのだ。

 次はミッチェルさんとアラン教授。ミッチェルさんは10年間苦しんできた、うつ病がわずか1回の刺激で、次の朝には良い変化を感じている。1週間後には生活に意欲が出て、「新しいハンバーガーやさんを探しに行ったよ」。1ヵ月後には別人のように回復した。「以前はまっくらな穴に落ち、人生は絶望。あきらめていた。奇跡だ」と喜ぶ。
アラン教授によれば、クリニックでは7割が改善した。完全になおるかどうかは、これからだ。
 日本ではまだ受けられない。
 エモリー大学のヘレン・メンバーグ教授が登場。別の方法だ。「DBS(脳深部刺激)」という。手術が必要だ。頭の骨に穴を開けて、電線をさしこみ、胸元に埋めた電極から刺激を与え続ける。「25野」ということろを刺激する。(ここらへんは私の理解不足。)手術を受けた40人を定期チェックすると、75%が有効であった。

 では日本はどうか?「治療はないよ。認知症だから」と言われた吉岡さんは、山口大学医学部附属病院をたずねる。ストポグラフィーという検査を受ける。脳の働きを血流量で読み取る。吉岡さんに「うつ病」という病名がついた。「初めて病名がついたので、病院に行って治療したい」と言う、前向きの姿勢になった。
 この検査をすると「うつ病」「統合失調症」「双極性障害」の違いが、はっきり分かる。血流をあらわすグラフの線の形が違うのだ。「双極性障害」は「そう」と「うつ」が来るのだが、これを単なる「うつ病」と誤認して「抗うつ剤」のみ処方されると、なおるどころか、大変なことになる。つまり、「ハイテンションになって自殺願望が生じることがある」ことがあるわけで、だれもがなるわけではないので、間違えないでください。
 さて、治しかただが、一つは「認知行動療法」。訓練を受けた臨床心理士が「見方を変えれば、前向きになれる」方法を教える。聞いたことがあるでしょう?

 しかし、しかし、わざわざ、このNHKスペシャルを見て思うのは、前から「うつ病」「統合失調症」「双極性障害」を正しく判断する方法はあったのだ。
 昔に読んだ本で、東北のお医者さんだった。脳を断層撮影すれば、しかも、ある角度から撮影すれば、この3つは違う像を結ぶ。正しく診断して治療できる。ただし、できるお医者さんがこの方のほかにいない。この先生は「治療は薬、カウンセリング、栄養、運動の4つをバランスよく行なうこと」と言われた。
 診断する機械も持たず、ちょっ問診しただけで、投薬して、終わり、という医者がいるからいけないんじゃないの?運動や栄養の指導までやってるかい? 精神科か、神経科か、心療内科か、名まえはいろいろあっても、ほんとに勉強してるのかい?素人だって、本は読むんだぜ。