「取材したことがある」方から   2012.9.29

 認知症予防プログラムには、浜松の金子先生方式(自らスパルタとおっしゃっていましたが)もあり、毀誉褒貶はありますが、たしかに全員ではないですが、あの方式に合う人たちにはかなりいい結果を残しているようです。ですが誰にでも向く方法とは思えませんでした。
 ほかに、京都の高林実結樹(たかばやし・みゆきさん)という女性で、「特定非営利活動法人 認知症予防 ネット」の代表が始めた、運動とふれあいをあわせたプログラムもあります。
 ずいぶん昔から「認知症は予防できない」といわれながら予防デイでがんばっているのが、静岡の増田末知子(ますだ・まちこ)さん。日常の規則正しい暮らしと、ふれあい、運動と定期的な脳の刺激が中心でした。
 お二人はいずれもご自身の体験をねっこに、がんばっていらっしゃいます。NETで検索して活動を見てください。
 個別の方式は違いますが、参加する方々がみな、とても楽しいと感じているようで、また仲間意識を持っているところがいいなあ、と、取材に行って思いました。取材はいずれももう、5年以上前のことで、当時は「認知症には予防という言葉はない」といわれていましたが、増田さんも高林さんも、めげずにがんばっていました。高林さんは、最初、増田さんのところへ行って学んだと思います。

金子さんの方式は、決して主流とはいえませんが、万能ではないものの、そのいくつかは(刺激を与え続ける、など)現在のケアにも生かされているのだと思います。

 先日のNHKの番組では、アルツハイマー型と脳血管性認知症の予防として食事療法を推奨していました。炭水化物同士、たんぱく質同士、脂質同士、の過剰なドカ食いが、認知症発症のリスクを高めるというものでした。そのためには、メタボにならないよう生活習慣を改めよ、というものでした。
 
 いま、学問的には、少なくとも糖尿病患者はそうでない人よりも認知症になる確率が約2倍になるということは、言われています。ほかにも、生活習慣病(昔の成人病)の人は、生活が不活発になり、認知症にもなりやすいといわれています。バランスよい食事を適量摂り、毎日負荷のかかり過ぎない運動を継続しているような生活を続ければ、認知症になる可能性を低下させることが可能とは思われます。
 ですが、それで完全に予防できるわけでもなく、ちゃらんぽらんな暮らしをしてきてメタボな体型の人でも認知症にもならずに長生きする方もいるわけです。
 まあ、体にいいということをやってみるのは悪くはないので、結構かと思いますが、かといって、発症した方を「きちんとした暮らしをしなかったから認知症になった」と責める資格は、誰にもありません。認知症発症のメカニズムはまだそこまで解明されていませんし、病気になった方だって好きでなったわけではないので、病気があっても(認知症が病気かどうかは非常に難しいところです。単なる加齢現象だと言い切るお医者さんもいます)、どこでも誰でも、安心して歳をとれる社会をつくるべきだというのは、そのとおりだと思います。
 予防というのはすべてにおいて万能なものとはいえないということ、をしっかり踏まえて予防活動をすること、病や症状を得た人を「予防しなかったから」と責める気持ちをもたないことは、何よりも大切なことだと思います。
 所詮、人間には、たいしたことはできないけれど、まあ、いいといわれることならやってみましょうかね、程度が、お勧めの態度かと思います。