「どうせ死ぬなら、がんがいい」中村仁一・近藤誠著宝島社新書 2012年

1.がんの誤解を解く
 どうせ死ぬなら「がん」がいい
 治療しなければ、がんはけっこうな病気
 がんが痛むのではない。治療で痛む
 がんの9割に抗がん剤は無意味
 抗がん剤が「効く」とは、しこりが一時小さくなるだけ
 ひとりも痛まない老人ホームの「がん放置患者」
 胃ガンも肝臓がんも放置すればラクに死ねる
 手遅れの幸せ。安らかな自然死
 本物のがんと「がんもどき」
2.医療に殺される
 「がんにかかるとすぐ死ぬ」イメージは医者が作った
3.日本人と死
 昔の「自然死」「老衰死」は大部分、がんだった
 モルヒネは太古からの痛み止め
 「在宅での看取り」への動き

 近藤さんの本も読んでいたし、中村先生は売れっ子だ。
 読み始めたらすぐに読めた。かなり明快。
 高齢者のがんには、なかなか進まないものがあることは、経験で知っていた。母の弟の継父がそうだった。近藤さんの言い方だと「がんもどき」というのだろうか。

 がんを手術すると、人工的につけた傷口に、残ったがん細胞が集結して暴れ出すとか、なかなか怖い。
 若くない人が手術すると、やせて、体力が戻らないまま、力尽きるのも見てきた。
 今、何も心配のないときに読むのはよいが、がんで、大切な人を失った人が読むと、つらいだろうな…と思う。
 まだ若い人ががんになった時も、この本を受け入れる訳にはいかない気もする。
 そんなに簡単にあきらめられない。できるだけの治療はしたいと思うのではないだろうか。