病院に検診に行く

 「術後2か月ですね。どうですか?」と先生がにこにこしておっしゃった。
 血液検査は「経過良し」だったらしい。
 「良く食べられるし、体重も増えました」と答えた。
 「では管を抜きましょう」になった。ベッドに仰向けに寝る。
 胆管、膵管、腸ろうを抜いてもらった。今まではこの管の端っこがおなかの表面に出ていて、ガーゼ(本当は消毒済のコットン)と透明テープで貼ってあった。やっと抜いてもらって、これで「病人らしく」なくなった。
 口から食べられなくなって胃ろうをするのはよく知られているが、膵臓が悪い場合は、胃に食べ物を入れると膵臓が「消化しなくちゃ!」と働くので、消化液をどんどん出すとまずいことになる。だから手術後には腸に管を入れて、そこに栄養剤を入れていた。「腸ろう」と言うそうだ。
 良くなってよかった。先生にお礼を言ってお別れしようと思うと「経過を見るので次回は3カ月後、CTを撮ります」になった。今は電子カルテになっているので、右のコンピューターでカルテのデータを見ながら、真ん中のコンピューターでCTの予約を取り、左のプリンターで次回の予約表とCT検査の問診票が印刷されて出てくる。
 管を抜くのも、ガーゼを貼るのも先生が一人でやって、予約も一人でなさるので、看護師さんも要らない。外来の診察室はたくさんあるので、必要な患者さんにはベテランの看護師さんがついて、説明もしておられる。私たちには不要なわけで、おまけにこのまま、診察券を1階の「会計受付機」に通せば、次は「会計終了表示板」に診察券番号が出る。それを見たら、会計機に行けば、わからないところは担当の人が説明してくれる。
 そうそう、外来は初めてなので、病院についてすぐにボランティアの人に「受付機」を教えてもらった。血液検査の時も「受付機」に診察券を通すときに「裏ですよ」と言ってもらって、おかげでもたもたせずにすんだ。「ここにいて下さって助かります」とお礼を言うと「そう言ってもらって嬉しいです」とおっしゃった。
神大病院ボランティアグループ」の人は腕章とピンクのエプロンがユニフォームだ。外来の各所で案内するだけでなく、1階のボランティア室に常駐していて、相談に乗ったり、寄付された本を分類して図書コーナーに置いたり、病棟のデイコーナーに配ったりしておられる。毎月の催しもあって、折り紙などの作品作りもある。掲示板には「神大ボランティア20年」という新聞記事が貼ってある。
 本に「ボランティアが活躍しているのは良い病院。『ここでお世話になったからお礼のつもり』と言う人も多い」とあったが、そうだろうと思う。私だって近ければやるかも?いやいや、今も、ばあちゃんのお世話になった施設のお隣なのに、ボランティアには行かない。隣接地主にはそれなりにやるべき役割があって、施設に入ってボランティアするばかりが能じゃない。