「第1回はばたくアート展」

 若い時に勤めていた中学の教え子のお母さんから誘われて「はばたくアート展」に行った。阪急電車東園駅前の甲東ホールだった。去年の1月に三好春樹さんの講演会をしたときは、大きいホールだったが、今回はその前の小さい会場だった。
 主催者は、社団法人西宮市手をつなぐ育成会だ。作品を作ったのは、小学校・中学校・養護学校の生徒さんや、卒業して作業所で働く人たちで、いずれも知的しょうがいがある。言葉でコミュニケーションをとるの下手だったり、覚えるのが苦手だったり、ということだ。
 絵画・工作・習字・手芸品などだ。
 私が一番気に入ったのは、小学生の男の子が描いた「さつまいも」だ。葉も芋も大きくて元気で「うん、立派!」なのだが、また、色が素敵だ。紫と赤の混ざった、深みのある色合いが、なんともいえない。アンケート用紙に、お褒めの言葉を書いた。
 「ピント君」というのがある。紙に、丸坊主で「大」の字の人形が印刷してある。それに、自分が好きな顔を描き、好きな服を描く。まん丸お目目のかわいい女の子もあるし、男の子もいれば、なんだかわからんのもあるのが、すごい。それを切り抜き、お母さんたちがボランティアをして、つないだのだと言う。裏(顔のほう)と表(背中)の2枚の間に、手の部分にたこ糸を入れて、隣りの子と手をつなぐ形にしてある。600人のピント君がいる。600人の作品だ。壁と壁の間に渡してある。これは是非、見てほしいし、どこでもやれるので、真似をしてやってみてほしい。「みんなで頑張ろう」という気持ちになるよ。

 福祉の分野では、まだまだ社会の意識が遅れている。親を介護している人が「車椅子で出かけるお年寄りが少ない」と言っていたが、そんなもの、私が勤めていた35年前だって、外を歩けば冷たい視線にさらされて、悔しい思いをしたのだ。「今頃、言うの?」と思う。昔からそうだった。子供のせいではないし、親のせいでもないのに、「皆で守ってあげよう」という気持ちを持つ人が少ないのだ。「本人が出て行って訴えろ」と言うかも知れないが、それほど、強い人ばかりではない。