どういう意図で?

 近所にばあちゃんの古い友達がいる。聞けば、その人もデイに行きたいらしい。ほかの人が行って、お風呂に入ったりしている話を聞いて、自分も行きたくなったのだろう。でも、認知症ではない。自分のことは自分でできる。介護保険の認定申請をして、面接をまっていると言う。認定されないんじないかな、と本人もまわりも思っている。では、裏ワザを、と思い、「たたかうおばあちゃん」をもって話しに行ってみた。
 息子さんの奥さんにも一緒に話を聞いてもらうことにした。「たたかうおばあちゃん」を出すと「こういうものを配るのは、どういう意図で?」ときかれてしまった。??意図?
 ばあちゃんがボケた。他の人はこんなとき、どうやって対処しているのだろう? ネットで、仲間を探してみたが...無い! ならば作るしかない。せっせと書いているうち、ふと思いついて、ひとにあげると「おもしろいな」と喜んでもらえた。それからは、チャンスがあれば配ることにしている。出あった人にもらってもらう。
 そうか! 今になっておもいついた。認知症を理解してほしいからよ。順調に歳を重ねてぼけたんだ。ばあちゃんが悪いのではない。周りの者、たとえば私が悪いのでもない。(多少は悪いが...) 
 かつて「何もわからへんのやから、かばってくれるのがおまえの務めや」と言っていたばあちゃん、今は「ここにおったら、三度三度あてごうてくれてです。親が子にあてがうのはあたりまえです」と言って親子関係を逆転させているばあちゃん..わかってほしいからよ。
 その結果、「おもしろいな」と言っていた人たちの中から、「うちもデイサービスに行かせたい」と言って実行した人が出てきたり、「たたかうおじいちゃん、を書いてみました」と言って、毎日のようにファックスで送ってくる人が現れたりして、あ、種を蒔くと生えるんだ、と思えるようになったのだ。