お便り 鶴田一郎さんから

  財団法人 日本老人福祉財団 大阪ゆうゆうの里診療所長
 鶴田さんは高校の同窓生です。同窓会で出会ったとき、有料老人ホームのお医者さんだと聞いて、お話をしました。「たたかうおばあちゃん」を送ると、いつもすぐにていねいなお便りをくださるので「一度、のせさせてください」とお願いしました。
「拝啓 梅雨の候、あなたさまには、ますますご清栄のこととお慶び申しあげます。いつも、長文のお手紙をお送りいただきありがとうございます。実地臨床に役立ち感謝しております。
*25号について
 +9〜10ページの「大逆転の痴呆ケア」また
 +24ページの「何が困るか」の続きの文章も、胸にぐっとくるものを禁じえませんでした。
*26号について
 +5ページ 湯浅隊員からの「表彰状 たたかうおばあちゃんを書き続けることがすごい」のとおり、バイタリティには関心しております。
 +12ページ「婦人会の福祉講座」で「ぼけはじめて『ちょっとおかしいかな?』というころ、一番わかってくれなかったのはお医者さんで...」は、耳の痛い話です。
 +インパクトがあったのは「80歳にもなると、ぼけても普通、の社会を作ること」、同感です。ぼけは病気のものは少なく、自然現象との意味かと受け取りました。
 前述のような社会をつくることも大切ですが、ぼけたくない人もいます。老いを受容できない人もいます。アンチエイジング医学がはやる所以でしょう。かく言う私もアンチエイジング医学の会員になっています。
 +30ページの下段の「ばあちゃんがぼけたのは、どんな作戦か?」には思わず、うなづいてしまいました。
 +最後に、教え子のミュージカル出演で、「教え子の活躍は教師冥利につきる」という、いいお話をありがとうございました。
*27号について
 +表紙の絵、「梅のきず物はかわいそうなのでジャムにする、きれいなしその葉は梅干に、きれいでないしそはもったいないので、ジュースにする」とのこと、物を大切にすることと、その物を活かすにはどうすればいいのかを考えておられ、介護についての示唆に富む言葉だと思いました。
 +5ページの「年をとるにつれ、体力が弱るならわかるが、超越して怪力になる」は、結果として、体力の消耗につながりますので、注意したほうがよいと思います。
 +6ページ「園芸で認知症の改善」の中、「ばあちゃんの農作業は趣味か、強迫観念か」の問題も興味があります。要は、個人の好むもの、個別対応の大切さを考えさせられました。
 +10ページ「湯浅ちゃんちのじいちゃん」の話も、引越しの仕方の大切さ、一家のなじみのある良好な人間関係の大切さについて興味深くおもえました。
 +16ページの「連絡帳」の件、問題点の見えてくるように記載することの大切さを教えられ、私自身にとっても反省しきりです。家族の眼で、ケアの質もあがる例でしょう。
 +17ページ「一朝一夕」で連絡帳での報(告)・連(絡)・相(談)ができていない。あってはならないことですが、よくあります。職員教育の大切さを教えられました。
 +17ページ「豊年エビ」山を削り住宅地にすること等、人間が目先の便利さのために自然を改変すると、しっぺ返しが来る、地球温暖化がよい例でしょう。
 +19ページの「不穏になりました」との連絡メモでは、専門用語は定義がはっきりして共通理解がしやすい反面、部外者には「わからない」「異様な話」の思われるので、使うときのT.P.O.が大切だと思われました。
 +24ページの「ばあちゃんの認知症は、どのタイプでしょうか」は、金子先生のいわれるようなものかも知れませんが、アルツハイマー型痴呆かも知れません。そのほかのタイプは考えにくいと思われます。しかし、CT、MRI、その他の画像診断が必要です。おっしゃるとおり、じっと寝ていることのできている時期に撮影しておくべきだったと思います。ひょっとすれば、CTなら今でも撮れるかも知れませんが。「ばあちゃんに必要なのは、ばあちゃんの心理や行動やらに全部つきあい...」云々は耳の痛いところです。一生懸命研究されておられる方もいらっしゃいますが、まだまだ十分ではありません。成果主義、費用対効果、ファーストフードの流れの中では、地道な研究、結果が出てくるのに時間のかかる仕事は敬遠される傾向にあります。
 以上、感想を書かせていただきました。末筆ながら、向暑の砌、御身ご自愛くださいますようお願いいたします。まずは、お礼と、感想まで。敬具。 7月12日

 ほんとにありがとうございます。いつもいつも、すぐにお返事をくださることと、私が言いたい放題書いているのに、一つずつ丁寧に見て、考えて感じてくださるのに、感激です。私も、がんばらなくちゃ。同窓生の皆様に感謝。