今日はばあちゃんは1日、畑仕事の日だ。10時の休憩に赤シソジュース牛乳割りを持って行った。ばあちゃんの夏をのりきるシソジュース、おかげで今年も元気、元気。
 ふと見ると、ばあちゃんのもんぺのポケットがふくらんでいる。またミニトマト?「出してごらん」栗三つだった。畑にあがる道に落ちていたのを拾ったのだ。「ばあちゃん、栗をどうするの?」と訊くと「焼いて食べます」と言う。「どうやって焼くの?」と訊くと「ご飯たいたあとに埋めます」と言う。それはかまどの灰に埋めるんでしょ。70年前のばあちゃんの子供の頃よ。まぁ、私が子供の頃もかまどでご飯をたいていて、昭和47年に今の家を建てるまでは、かまどがあったわね。お風呂も薪でたいていた。井戸からお風呂に水を汲んで運ぶのが私の仕事だった。お風呂をたく時に、火をつけたら、かまどの中で寝ていた猫がとび出してきて、びっくりしたよね。残り火で芋や栗を焼いたり、もっと灰がさめたら猫が入っていたんだ。
 でもな、今は「ご飯たいたあとに埋める」のは無理やで。電気の炊飯器やもん。ばあちゃんだって、使っていたやろ?