句会

 北海道の旅の俳句
  旅に来てとうもろこしの甘さかな
  コスモスをめざしてゆかん車椅子
  知床に鮭戻りきて水はねる
  摩周湖は台風前夜雨合羽
  ジェット機の窓の外なるみっか月  
 このうち、先生が「ジェット機の窓の外なるみっか月」を特選に選んでくださった。選ぶ時は誰の句か、わからない状態で選ぶので、えこひいきがあるわけではない。ごくたまに「あ、これは誰の作」とわかることがある。でも、たいていはわからない。選ばれてから作者が名乗って「あ、いかにも」と思うものだ。だから、選ばれるととても嬉しい。これはもとは「ジェット機の窓の外なる三日月夜」としていた。「みかづき」では四文字だと思ったのだ。先生が「みっかづき、と読めば五文字になるので、そのほうがよろしい」となおしてくださった。

 そして家で作った句
  うす紅に今開かんとコルチカム 
 コルチカムは不思議な花だ。ゴツゴツと三角形に角が生えたような球根だが、皿に載せておくだけで花芽が出て花が咲く。水も土もいらない。芽は茎も白くて、つぼみが淡いピンクだ。葉もなく、花だけが開く。花が終わってから、球根を地面に植えると、葉だけが出る。葉が枯れたら、掘り起こして次の年の秋まで保管するだけだ。
 ところが「コルチカムを食べた老人が死亡」という記事が新聞にのったときは、びっくりした。老人ホームで、かざっていた球根を認知症の人が食べたのだという。毒があったのだ。ばあちゃんみたいに、目の前にあれば何でも食べる人なら、やりかねん。花も飾れない。何も物は置いておけない、ということになり、ホームは殺風景になり、温かみもなくなってゆく。