小澤勲さんの講演会「認知症とは何か」

 2月5日の朝日新聞に紹介されていた講演会だ。豊中市医療保険センターと書いてあったので、豊中に住んでいる友人に言うと駅まで迎えに来てくれて一緒に行った。
 主催者は「よつ葉福祉友の会」とある。3月からデイハウスをするのでそのスタート記念に講演会を企画したそうだ。
 小澤さんは紹介されると「私はこんな頭をしていますが、お坊さんではありません」と言われた。感じのよいおじい様だった。良いお話だった。著書の「物語としての痴呆ケア」を読んでいたのでよくわかった。本には「肺がんを患っている」と書いてあったが、声もよく通るし、頑張りやさんだと思った。
 小澤さんは説明のための画像を用意しておられた。京都のお寺の写真をバックに、文字で説明が書いてあった。
 まず、痴呆ケアにとって「ターニングポイント」(転換点)になったことがある。
 一つは2004年2月24日に「認知症」という名称になったことである。今までの「痴呆症」は「痴」は「しれもの」「呆」は「ほうける」でいずれも「ばかげたこと」であり、病気の人の実態からかけはなれているというのが理由だ。
 もう一つは、認知症を病む本人が語り始めたことである。オーストラリアのクリスティーン・ブライデンさんだ。彼女は「私は誰になっていくの?」「私は私になっていく」を書き、夫のポールさんと共に来日し、講演もされた。これに触発され、日本人でもアルツハイマー病を病む本人で「国際アルツハイマー協会」の会議で意見を述べる人が出てきた。
 今回「今まで認知症について書かれた本はケアする人や家族向けばかりで、病気をかかえる本人あてのものは、なぜないのですか?」という声に応えて、小澤さんは初めて本人向けの本「認知症と診断されたあなたへ」を書かれた。会場の入り口で著者のサイン入りの本が販売されている。私も「認知症と診断されたあなたへ」と「痴呆を生きるということ」を買った。