入れ歯の話 その2 「目と耳と歯」ピンクのいるかちゃんからの手紙

「せみの声が静かになって、暑いけど、夏の終わりを感じます。『たたかうおばあちゃん』ありがとう。いつも送ってもらうの、悪いから、さくら会の例会に出席するように今後は心がけます。
 私流『ぼけ予防』の目と耳と歯は、ぼけても大事だと思います。母は歯がだんだん抜けていき、入れ歯を作ってほしいと頼んでも、歯医者さんにいやがられています。それで今は、難しくても作ってくれる歯医者さんを探しています。
 目も近視でめがねをかけているけど、以前の施設では、めがねをとりあげられました。その時は目医者さんに『この人にはめがねが必要です』と診断書を書いてもらって施設に出しました。
 私はそんな思いをしたくないので、今から大事にしとかないとね。」

 いるかちゃん、入れ歯の話ですが、ステイのスタッフから「認知症になると、入れ歯は作れません。歯があわなくても『痛い』と言えませんから、口の中に傷ができて化膿したりしても困ります」と言われました。その通りだと思います。今回、ばあちゃんはまったく違う他人の歯を入れて、気がつかず、平気なのです。普通は、他人の靴を間違えてはいても、違和感があるでしょう。入れ歯ならもっと違和感、なんて思うのは認知症ではない人の場合です。
 うちのばあちゃんも、ぼける前に作ったからできたのです。バスで15分ほどの歯医者に自分で通いました。「あとから合うか、見せにきて」と言われたのは、無視です。その後は、私の弟に作ってもらいました。バスと電車を乗り継いで大阪の肥後橋まで連れて行きました。できたあとも、調整に連れて行きました。そのころは帰りは電車に乗せたら、一人で西宮名塩でおりて、バスに乗り継いで帰れました。70代だったでしょうね。私は連れて行くだけでしんどくなって、帰りはばあちゃんを電車に乗せると、一人、大阪で本屋や買い物に行って帰りました。
 今でも弟は「連れてきたら作ってあげる」と言います。往診で作るのは無理なようです。歯医者さんは道具が要るので、往診は無いかも知れません。
 また、今日もばあちゃんが通院した診療所に、歯科があります。週に3日だったかな。施設の診療所ですから、障害があって「口を開けて」と言ってもわからない子供も診てもらえるでしょう。一般の開業医に行ったら「言うこときかない子はあかん」とか「口を開けられないのでお断り」と言われるでしょう。診療所の玄関にはよその施設の名前の入ったワゴン車が止まっているのを見ますし、待合でいっしょになることもあります。