「元気ずら」

 藤岡筑邨(ちくそん)著 滝川照子・絵 芳林社 2006年
 先日の「介護アンケート」のベターケア誌にのっていたので注文して送ってもらった。「映画『さよなら、クロ』の原作者 筑邨先生83歳の『元気ずら』」と表紙に書いてある。
「元気ずら」の「ずら」は長野県松本地方の方言で「だろう」程度の意味で推量・確認の場合に使う、とある。「元気じゃん」「元気だわに」「元気だもな」「元気やろ」「元気ずら」と並べてある。では私のまわりの関西なら「元気やろ」になるかな?
 「序に代えて」として東北大学加齢医学研究所の教授・所長の帯刀益夫さんが「高齢者とアンチエイジング」を書かれている。筑邨先生は本名は改造といい、国語の先生として参考書を、俳人(号が筑邨)として句集を出版し、映画にもなった「職員会議に出た犬・クロ」の執筆者だそうだ。松本深志高校で、3年間同じクラス編成であった帯刀さんらを担任した。帯刀さんらが60歳ごろから毎年クラス会をして筑邨先生をお呼びすると、とたんに座が活気を増し、高校時代の教室の雰囲気に変わるそうだ。なんとも不思議なのが「40年前の昔のちっとも変わらない」先生の若々しさであり、記念写真を見ても「どっちが先生か?」と首をかしげる
 これは「ある!」私も自分の同窓会に恩師に来ていただき、また教え子の同窓会に呼ばれるといそいそと出かける、両方を経験するので言える。一つは「中学・高校の生徒は発展途上であり(?変かな?成長途中か?)将来どう変わるか未知数であるのに対し、出会ったときに既に大人であった先生はもう変わらない」もう一つは「若い学生を相手にしていると気が若い」でも気が若くても見かけが若くない人もいるので、筑邨先生は見かけも若いのだろう。表紙の写真を見ても、とても83歳には見えない。60歳代と言っても通用する。「元気の秘訣を」と度々問われ、いちいち答えるのが面倒なので本に書かれたのがこれだ。読みやすいし、すぐにやれそうなものがたくさんあった。