怒るな!

 ばあちゃんは4泊5日のステイから帰る。いきなり怒る。「どないするのんどいな!」こちらは静かに「大きい声、出さんといて。静かにしゃべって」と言う作戦で行く。送ってくれたスタッフが帰ってしまえば、ばあちゃんはおとなしくなり、着替えてしまえばこちらのもの。干してあった布団・座布団・枕をばあちゃんのベッドに積んでいたので、むっとしたようだが「カバー、かけるよ」と言いながら、こちらの端を持ってやれば、自分でちゃんとかけ終えた。
「おやつにしよう」と誘う。今日はメロンがある。切って、スプーンでくりぬき、ばあちゃんの皿にのせてやれば、フォークで刺して口に運ぶ。しかし、ぎこちなく、手も冷たい。ステイの冷房で冷やしすぎかな?でも、もう9月だぜ。おまけにここらは「西宮の北海道」と思うぐらい冬が寒く、夏の暑さもたいしたことないのだ。うちは「クーラーが要らない」のが自慢なんだもん。
 食べ終えて、皿をかたづけ、「昼寝」メモを見せた。部屋に行くのに、通りがかりに机の上の私の麦藁帽子をつかむ。なんと!ぼーっとしているようで、置いてある物はちゃんと見ていて「自分の物だ」と思うのだ!あわてて取って、中に書いた名前を「読んで」と言うと、ばあちゃんの名前ではなかった。まったく油断もすきもならない。