来た、来た、畑に!

 駐車場で待ち合わせしたら、車4台に親子5組にふくらんでいた。また乗り込んで畑の中の道まで乗り入れる。降りて、整列!なんて幼稚園みたいだ。移動幼稚園。私「みんな、ここに網の柵とかトタンの囲いがあるでしょ。何か、が来るのよ、何だと思う?」「へび」私「へびは小さいからこの網をくぐるわね。それにもう冬眠している」「あらいぐま」私「来たよ。すいかが、こちらから見たらすいかなんだけど、裏から見ると、こんな穴があって食べてたよ」「僕、知ってる。おじいちゃんが植えて食べられた」私「そうなの〜。では何かな?」「クマ!」私「クマはいないのよ。このへんには」お母さん「いのしし」私「そうです。いのしし」お母さん「いのししが来るんだ」私「そうよ。こっちに来てみて。いのししはこの高さのトタンはジャンプして越えます。1m20cmの高さもジャンプするらしい。助走なしでいきなりピョン!」移動して私「いのししは何を食べると思う?ここの土を掘っているでしょ?」子どもらわからない。「ミミズ」私「正解。猪は、竹の子・かぼちゃ・とうもろこし・すいか・さつまいもを食べます。無いから、ミミズを掘って食べたのよ。食べられないように網を張ったの。では、網の中にあるあれは何?」「にんじん、だいこん」私「初めに人参を抜きます。一人1本。大根も一人1本。どれでもいいわけじゃありません。端からず〜っと見て大きいのを探します。どんどん探しても、最初の1本が大きくて、それは他の人に取られた、ということもあります」大根引きも大変なのよ。
 網に入り口を開けて「途中に鉄の棒が挿してあったりするから、怪我をしないように気をつけて」と注意すると、1列になって、じつにおとなしく静かに歩くので感心する。幼稚園の子どもが先に来て、小さい子はあとからついて来た。「人参は根っこのまわりの土を掘って、太いかな、と見るとわかるよ。さぁ、探してみよう」と言うと、一生懸命やるが、抜いたら「太短い!」ということもある。枝分かれしているのもある。「2本足」と言って喜んでくれたが、失敗作だ。失敗作もあることも勉強だ。子どもは網の中、お母さんは網の外の畝に整列して、携帯電話で撮影してから「黒ビニールのごみ袋」に入れて行く。最初が金時人参、次に西洋人参カレー用、次が大根。大根は難しい。なかなか抜けない。私が「お母さん、手伝って」と言うと「それ、頑張れ!」と言いながら子供のおなかを持っている。「大きなかぶ」かい?一緒に大根の葉を持ってやればいいのに。大根の葉のひげは痛い、こともわかるのに。一人が「2本足大根」を引いた。2本の足をからませ、くねらせていて、なまめかしい。
 丸大根は簡単だ。根が浅いから、大きい割には軽く引ける。最後に白菜を1つずつ。まぁまぁ抜きやすく、小さい子も軽々と持ってくる。根を切ってあげる。これで収穫は終わり。皆、同じ黒ビニールの袋なのに「これは僕の人参だ」と言う。2本に分かれた物も、自分で引いたら愛着があるらしい。
「池で手を洗おう」と言って、私が先に行き、蛇口をひねると、皆、真似をする。初めて「あ〜、金魚!」と気がつくのも、いい方法だ。先に仕事「大根引き」をすませてから遊ぶのもいい。まだ小さい2歳ぐらいの子が草の中にしゃがんでいる。かまきりだ。棒を持って、かまきりをつついている。なかなかかまきりも負けないが、この子も負けない。棒をやめて、草をちぎってつついたり、やっている。
 子どもをほっといて、親は?「ヘクソカズラの実だ〜。リースにする」とぐるりの垣根や木にからんでいるつるを引っ張っている。ずいぶん長いことやっていた。そして「いい経験をさせてもらったわ〜」と言いながら皆で「ありがとう」と言って帰って行った。幼稚園ぐらいになると、説明をしても聞くし、そのとおりに行動できるのでこちらも楽しい。息抜きになりますね〜。