午後は「お母ちゃんがおらへん」 (また夫の報告)

 2時ごろ、ばあちゃんは玄関から出た。私の友達が外に置いてくれた玉葱の苗が入った箱をみつけ、玄関の中に入れた。私が温室からはずして横の方にのけていた古毛布をみつけて、これも中に入れ、玄関の上がり口に置いた。「これは何か?何のための物か」わからないから「なおしておかねば」と思えば、家の中に入れる。あかんなぁ〜、明日からは見えない所に隠さねば。
 次に玄関を閉めて長靴を持ち、裏口に回った。外に出たが、すぐに「雨、降っとる」と戻ってきた。夫に「畑に行かんでもええ。家におれ」と言われると「お母ちゃんは、どこ、行った?」なんで、突然思い出す?夫が「お母ちゃんは畑や。じきに帰ってくる。家におれ」と言うと、さぁ、それから「行かんでもええか?」「お母ちゃん、畑か?行って見てこうか?」「雨、降っとる」この繰り返し。長靴を手に、廊下をあっちへ行き、こっちへ行き...
 その時、玄関でチャイムの音。夫が出ると、ばあちゃんは自分の部屋の縁側のガラス戸を開けて、外を見て「わたし、行かへんで!」とどなる。客は夫と私の知人なので慣れている。
 夫が言う。「おかしいな。午前中と全然ちゃうで。お母ちゃん、なんて午前中は言わへんかったで」そうなのよ。豹変するの。午前中は、まだ頭が寝ている、とも言える。「午前中のばあちゃんは確かに『要介護4』の認知レベル。午後は頭の活性度『要介護2』やで」と夫の結論!う〜ん、うまいこと、言うなぁ。