「みんなのねがい」同じく「ゆうとぴあ通信」から

障がい児の視力 次男を恐怖の極みに陥れた雷はやっと影を潜めました。ただでさえ暑くて熟睡していないのに、雷に追い打ちをかけられて疲れているのか、施設への送迎車の中ではウツラウツラしていたそうです。それに、家でもあまり元気がありません。
 話は変わります。「みんなのねがい」という障がい者関係の機関誌を読んでいると、こんな記事がありました。眼科医が書いたものです。これを読むと、重い障がいのある人たちの幸せのことにも気配りのできる素晴らしい医師だということが分かります。
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 障害児の診療に慣れていないと、眼科医でも一回の診察で無理だとあきらめてしまいます。一回の診察ですべてを判断しようとするからです。障害児には、場所・人・検査と慣れなければいけない要素が多いのです。「急がば回れ」、毎回一つずつ判断できればよいのです。
 手術が必要な治療には制約や限界がともないますが、眼鏡を装用することはそれほど制約はありません。視力検査ができなくても眼鏡は作れます。慣れた眼科医なら屈折度は検査できます。眼鏡が装用できるかと心配する前に、まず装用させてみることです。
 追視がまったくない児にまで、眼鏡を装用しろとは言いませんが、横になっている生活が多いからという理由なら、バギーなどで座る生活を増やす可能性はないでしょうか。
 視覚が知的な吸収に重要なのはまちがいありません。重症障害児の外に向けた反応を引き出すには五感への刺激が大切です。その初期の段階で、視覚刺激の効果が五感の中のどこに位置するかはわかりません。ただ、音に敏感な児が刺激に対し耳をすますだけではなく、その方向に眼を向けたなら、視覚を刺激する意味が出てくるのです。
 障害児も、全身管理が良くなり、社会的理解が高まるにつれ、社会への参加の機会が増えてきています。視機能のわずかな底上げでも、将来の生活を少しでも広げるため積極的に対応する姿勢が必要と思います。障害児ゆえに可能性を放棄してはならないのです。