「おむつはずし学会」開会講演 牧里毎治先生

 牧里先生は関西学院大学社会学部教授で「専門は地域福祉論他」と書いてある。若い!
 はじめに「この会場を借りるためにはここの専任教員がいないとだめなのです」と言われる。関学B号館の2階の階段教室だ。右から5人、7人、7人、5人の椅子があるから、12席の何列だろうね?「500名募集」したから、それぐらいは入れるだろう。本当にこのような会場・午後には5つの分科会があるから教室も5つ。これを無料で貸していただけるなんてありがたいこと。席は前から埋まっていたので、参加者の熱心さがわかる。私たちパネラーは最後列にすわり、講演を聞く。ではどうぞ。
 
 関学は先生より学生が強いのです。「つどい場さくらちゃん」の会員の松岡洋子さんの紹介で丸尾多重子さんと知り合いました。「一宿一飯の恩義」で「つどい場さくらちゃん」の会員になりました。
 私の専門は地域福祉です。どんな人も地域の住民ということです。
「おむつはずし学会」についてですが「おむつをはずす」ということは「手間をかける」「トイレに連れていくとかの努力と目標が必要」ということですね。「本人の残っている力を出そう」ということでもあります。
 私は豊中市に住んでいます。そこで皆で民家を借りて「遊友」というのをしています。この本を出しました。ボランティアでしていることで、家賃も払えない、固定資産税も払えない、免除してもらいたい。でも市は「だめだ」と言います。ここだけ認めると他も認めないといけない」そこで「モデルケース」として減免してもらいます。
 本を作るときは、みんなで作ります。一言でもいいから書いてもらう。写真でもいいからのせる。すると「ばあちゃんがのっているから」と言って買ってくれます。地域の活動というのはあとにつづく人がいないと困りますね。60代、50代、40代と少なくなるんです。しんどいと誰も来なくなります。「住民一人ひとりの居場所がここにある」かっこいいでしょう?
 普通の住民にとって、介護・障害・貧乏は大変です。住民の援助がないとやっていけません。
 必要なのは「人と場所」です。「くらしのセーフティネット」といいます。これはいわば「一枚の布」です。縦糸に「専門家の援助」よこ糸に「知人・住民・知り合い、つまり普通の人としてつきあってくれる人」です。たて糸とよこ糸を織り込んでいって、はじめて「一枚の布」になるのです。ちがった側面からつながりを作っていくことです。
 ところで「おむつはずし学会」ですが、学会とは「学ぶ」会ですが、「楽しむ」会はどうでしょう?「楽会」です。
 暮らしには多くの人のかかわりがいります。立場の違う多くの人です。縁です。縁結び、ネットワーク、良縁吉日。地縁、血縁は選べません。一人ひとりの縁を作り上げていきましょう。
 介護保険ができて、それに「のる」ことと「のらない」ことができました。「のる」のは「仕事」でする「介護」。「のらない」のは、そぎ落としていったもの。たとえば、庭仕事や犬の散歩など「保険外」となったものです。これがないと、生きる希望がなくなり、元気がなくなります。ちょっとしたこと「ついでに連れて行ってあげよう」ということなどです。
 今から30年前・40年前は、みんなやっていたことです。それを「福祉」と呼ばなかっただけです。たとえば「丁稚奉公」医者も商人もよそのお子さんを預かり、一人前に育てていました。
 今でも大事なことは「誰もが福祉にかかわる」ことです。専門家にまかせない。