基調講演「ほんまもんの介護をはじめよう」三好春樹さん ( )が私のかきこみ

 こんにちは、三好春樹です。「ほんまもんの介護」ということは「にせものの介護」もあるということです。私が特養に勤めた34年前は「力まかせの介護」でした。「腰が丈夫」が採用条件でした。「介護力士士」といいます。午前中は普通浴、午後は特浴。専門性はないのです。
 今は「介護福祉士」です。介護保険があります。では本当に「介護」があるのか?
 昔は「医療」とそれにともなう「安静看護」でしたが、それとは違いますよ。
 さあ、一緒に考えましょう。まず、両隣の人と自己紹介してください。(今日の三好さんは声も大きいし、ハイペースだ。会場も笑いの渦。三好さんの「追っかけ」が多数いて、同じギャグも「古典落語と同じでいつも笑える」雰囲気だからだろう)
 真ん中に線を引きます。左は「医療」右は「介護」です。
「医療」は「治療の場」ですね。では「介護」は何の場ですか?「生活の場」ですね。
「医療」は「患者」ですね。「介護」は?「生活者」ですね。「主体的に動く」ということです。「患者」は寝ているのが仕事です。「コンプライアンス」といいますが「従順」という意味です。じっと寝ている。今、患者は「様」をつけて呼ばれますね。「様」はいりませんね。厚生省の答申でこう呼ばれるようになったのです。高級住宅地ならともかく「三好様」なんて呼ばれると、高い物を売りつけられる気がしますね。
 さて「医療」は「急性期」の患者を扱いますね。命にかかわるドラマチックな場面ですね。ですがこれは「生活剥奪期」です。栄養を与えて寝かせておきます。「介護」は「慢性期」のアプローチです。ドラマチックな場面はありません。理学療法士も「リハビリの墓場だ。就職したくない」と言います。「慢性病棟物語」なんてどこがおもしろいですか?でもここも「生活剥奪期」になっていませんか?
 次です。「医療」では「体位変換」ですね。「体位交換」ともいいます。こんなことばを使うから平気で手をしばるのです。では「介護」では何というでしょうか?はい、隣の人と相談して下さい。まとめ役はA型の人ですよ。(あ〜、何?寝返り?A型て言われても、私、優柔不断、人に遠慮するもんな。まとめには向いてない)はい、答えは「寝返り介助」自己媒介で介助者は助けるだけ。
「医療」では「水分補給」ですね。「介護」では何ですか?はい、隣と相談。(ん?何?お茶飲む?)答えは「お茶の時間」脱水状態にしないには何でもいいのです。日本人は、紅茶でもコーヒーでも「お茶にしましょ」ある老人施設の例です。初めの年は苦労した。ヨーグルトを出すと「あれは、くさっとったで」と言う。2年目はうまくいった。どうしたか?午後から近所のファミレス・ドリンクバーに行くのです。散歩がてら、行く。施設の冷房費が助かる。年寄りたちは「飲み放題」というと、次から次へ試して、中には全部、味見する人もいる。
(次のメモ2行分、ちょっとわからない。わかる人、教えて)「医療」では「認知症」が進む。ずっといる人の10倍ぼける。引越しトラックにウィルスがいるんなじゃないか?
 老健のお医者さんの話です。ある施設長が「うち、寝たきり、いないぞ。見に来い」と言います。「日本一の施設だ」と言って、豪華な外国製の家具で、テーブルの上にお年寄りの顔がちょこんとのるぐらい背が高い。足は切れない。夜は建物をライトアップします。日本一の施設を作るのは立身出世です。だれでもできることをしないとだめです。誰でも作れる施設で、しかも良い介護をする。(『誰でもできること』これこそ『目からうろこ』のせりふじゃないかな?)これで夜勤の職員の仕事が増えたのです。何か?間違えて入って来るカップルを追い払う仕事です。「寝たきり」はいない。が「座ったきり」がいる。座って昼寝している。部屋に入る自由もない。
 84歳の人のケアプランの例です。「問題点は肥満。目標は体重減少」そういう介護職もふっくら型。
 日本人の平均寿命は85.何歳?世界で一番しぶといんですね。これは今年生まれた赤ちゃんの平均余命ですよ。今のばあちゃんたちの生まれた80年前は40歳そこそこでしょ。「こんなもん、食べたら、長生きできん」て、介護職が言うけど、してるやん、もう。
「医療」は「明日よくなるから、今は我慢。元気になるまで我慢」でしょう。「介護」は「今日が一番よい」今日、老人を活き活きさせなきゃ、明日できない。「今、ここからやる」ことを「介護」と呼ぶ。
「医療」のリハビリは「めざせ上昇志向」ですが「介護」の「筋トレ」は未来への逃避。「介護予防」などという言葉が悪い。90歳、100歳になったら、誰でも「要介護」あたりまえ。「死」は着地。うまく着地できるようにするのが「ほんとうの介護」(あ〜、やっと書けた。さいごの『あたりまえ』がいいよね。)