「裁判員になり司法に風穴を」朝日新聞1月21日「声」欄から 北九州市Tさん

 裁判員制度なんて面倒くさい。法律もよく分からない一般市民が、なぜ裁判に参加しなくてはならないのか。その考えは一つの理不尽な判決で覆された。
 一昨年の夏に福岡市の元職員が起こした飲酒運転による追突事故に対する判決である。この事故で、幼い3人もの命が奪われた。追突後、加害者は逃走し、友人に身代わりを頼んだり、大量の水を飲んでアルコール濃度を薄めたりしていた。
 これほどの重罪を犯していながら、「危険運転致死傷罪」は適用されず、福岡地裁の判決は懲役7年6ケ月だった。あきれた。憤った。飲酒運転撲滅に対する思い、亡くなった子供たちの命の重さ、親の無念を考えると、世論は納得しないのではないか。
 裁判員制度は、一般市民の感覚からかけ離れた判決を少しでもなくそうというのが、導入の主な理由だと思う。ならば、可能な限りこの制度を利用し、法曹界に少しでも一般市民の感覚を与え、風穴を開けたいと考える。