「認知症のこころに触れる」松本一生先生

 「ご紹介いただきありがとうございます。後ろのかたにも見えるように立ったまま話します。お昼ごはんをたくさん食べて、すわっていると、胃がつかえそうです...」とソフトムード。「大学に行っているのは週に1日半で、5日は外来診療をしている臨床医です。地域の中でやっています。最近問題になっている、つい、やってしまうこと。虐待。実は私も虐待を生き残るサバイバーです。25年間、家内による経済的虐待!」なぁ〜んだ!あはは、あはは〜とみんな笑う。「
 まだ若く、優しい声で優しいしぐさで、なんだか面白い。想像していた人と違ったなぁ。まるちゃんが知り合うのは、優しい人が多いのかも...関西人のしゃれ?真面目な顔して、冗談を言われる。あはは...こうでなくちゃ。
 松本一生先生は昭和31年生まれ。大阪歯科大学卒業、関西医科大学卒業。現在の肩書きがたくさんあるが、大阪人間科学大学人間科学部社会福祉学科教授、松本診療所ものわすれクリニック理事長・院長、日本認知症ケア学会評議員認知症ケア専門士認定委員、審理教育・家族教室ネットワーク運営委員、などなど。
 専門は老年精神医学、介護家族の心のケア、家族療法、在宅高齢者虐待防止、介護職の心理ケア、と書く方がわかりやすいかも。
 先生のレジメにそっていく。
認知症の人への共感
+精神発達を成し遂げた人
+ある時期を境に知的面が低下
意識障害はなく、自分のことが判る
+少しずつ進行をする
この結果
+本人の喪失体験への共感が必要」
「みなさんは平均年齢26〜7歳ですか?」あはは〜、そんなはずない、ない。また笑い。「若い患者さんでは30歳で認知症になった人がいます。年齢とは関係ありません。誰にでもある物忘れとは違います。家を出るときに『鍵をかけたかな?』『携帯電話を置き忘れた』そういうのは誰にでもあります。健忘と言います。認知症は病的な物忘れです。85歳の人が100人いたとして、25%の人が認知症になります。4人に1人がなるとも言えるし、逆に4分の3はならないとも言えます。これから5歳若返るたびに率は半減します。90歳では何%?最大30%。つまりあとの人はならない。」
意識障害というのは、私は交通事故にあって車にはねられ病院に運ばれた時は意識朦朧として、尋ねられても答えられない。認知症の人はそういう意識朦朧とは違う。しかし、今までできたことができなくなる恐怖と不安がある。「病気なのではないか?」と思う。そういう本人の気持ちと家族の気持ちによりそってほしい」