鼎談「心、すこやかに老いる 一人ひとりの豊かさについて考える」

コーディネーター 藤井博志氏 神戸学院大学総合リハビリテーション学部 准教授
パネリスト 惣万佳代子氏 「このゆびとーまれ」代表
パネリスト 田中喜代子氏 「あしや喜楽苑」施設長

藤井:では、そうまんさんに質問してみましょう。田中さん、どうぞ。
田中:遠いところをありがとうございます。涙と笑いのあるお話でした。(ごめんね。涙も笑いも...とんでいく迫力だったよ)こちらでは精神障害を持つ子を受け入れるショートステイがない、ということがあって、1.兵庫県には「基準該当」の施設がない。2.スタッフが共通してもっているもの、あなたはこの仕事に向いていない、という、そうまんさんが採用するときの基準、この二つについて教えてください。
そうまん:平成4年に長寿福祉課から「年よりだけにしてくれんか?」と言われた。入浴サービスから始めよう、と。これは保健所の管轄。平成5年7月に開所。「ちょっと寄ってかれ」と1週間、一般公開をした。県から黒塗りの車が2台来て「謝りたい」と言う。「入浴サービスは公衆浴衛生法にひっかかる」と言う。ちゃんと許可をとった。厚生省に足3回運んだ。県条例を変えて「面積か足りん」と言われ、箪笥を動かして風呂場を広げた。富山の場合、県と市が偉いのは、金を出さんが、口も出さん。片目つぶり、両目つぶり、見逃してくれた。普通、口は出すでしょ。「行政の太っ腹」ですね。今、緊急に困っている人がいれば、法律破ってでもします。(う〜ん、ずいぶん、元気、いいんやねぇ〜。ふつう、法律破っては、やらんでしょう。私ならやらないな)
藤井:「施設」は(入所者を)集めれば仕事になっていた。「在宅」は、ニーズに合わなければ...
そうまん:「介護の緊急度」があるでしょう。なんで助けてやらん?
藤井:道に倒れていたら、抱き起こすでしょう?ほっときますか?(ほっとくよ。昔「福祉は施し」だったころ「道で倒れているから」と連絡したら、迎えに来たのに「うちの入所者じゃありません」と言って、ほって帰ったよ。近いのだから、送ってあげてもいいだろうに。「近隣住民は見た!」)
そうまん:採用の基準ですが、知的障がいのある人は、自分のことができる、人と少しはコニュニケーションがとれる、です。(障害者)手帳を持っとらん人が利用者で、手帳持ってる人が職員、ということもあります。
藤井:「この人はあぶない」という場合はないのですか?
そうまん:「働きたい」という人を面接して、90何%はだいたい大丈夫ですね。長野県の人が研修に来て2週間して言いました。「一番感動したのは、2〜3日したら、上司の悪口を言うか、職員同士の悪口を言うかと思っていたら、ここでは誰も言わん」
藤井:「縦割り」の関係だと風通しが悪い。そうまんさんの所は「水平関係」なのだと、何回か見て思いました。
そうまん:「あんた、利用者か?」ときかれると「わたし、職員や。ひとの役にたってるんや」と言ってますね。有償ボランティアでも、本人はそう思っています。

藤井:会場の皆さんは、何か質問を?
垂水の機能訓練士:1.14年間で、そうまんさんが一番苦労したこと。2.「同じ障害者ばかりのグループはいけないと言われましたが、それをどういうふうにわからしたら、いいか?この二つについて。(その言い方!変!「お上にわかってもらう」のではなく、「障がいのある方にわかってもらいたい」のでしょ?「わからしたら」って、どうして「上から」ものを言うの?「わかってもらえるか?」ではないの?「あんたら、変やで」と思わず、ムカッと...同業者の集まりはこわい。私らもそう思われてるんやろなぁ)
藤井:必ず「共生ケア」じゃないといかんのか?ということですね。
そうまん:「富山型」が制度になり全国展開した、と言うと「そうまんさん、みんな、富山型にならんといかんのか?」と聞かれた。そんなこと、言ってない。必ず共生型、ではなく、選択できればいい。今のグループホームは知的障がいがある、身体障がいがある、目が見えない、とか、分かれている。「そうまんさん、アメリカには『盲の文化』があって、市ごとそうなっている。それはどうするか?」と聞かれ「長い歴史の中で、目の見えない人が町から排除され、5人、10人と集まり、やがて3万人の町になったのではないか?好んでそうなったかも知れないが、本当は半分以上の人はみんなと一緒に過ごしたいと思っているだろう」と...これを仙台で言ったとき、学生が多かったが、拍手が多かったのですが、今日はきませんね...(うん、今日の客は反応が少ないですね〜)
藤井:豊かさは多様さ、です。
そうまん:一番苦労したのは1年目、1か月の収入が12万円。お客さんが来ないのですから。
藤井:質問の方(言わなきゃ、と手をあげたのに、会場は暗くて見えにくいらしい。「はい」と言うとあててもらえた)
すもも:母親を介護している家族です。民生委員から案内をもらって来ました。80歳ぐらいからぼけて、今、90歳です。ばあちゃんのことはインターネットに日記に書いています。「たたかうおばあちゃん、ブログ」と検索して、読んでみてください。介護保険が始まった頃からデイサービスとショートステイを使いながらきて、今は月の半分をショートステイに行っています。ショートステイが20人の枠なので、とりやすく、いつでも、思うときにとってもらっています。ここまで来るにはいろいろあったんです。「土・日は職員が少ないから、怒るばあちゃんは利用しないで」と言われました。それも一つずつ解決してきたんです。一人ではできないので介護者の会に入っています。甲子園球場で有名な某市です。でも、介護者の会で、最近、出された話ですが「ショートステイの3つの条件」があって「暴力を振るう人はすぐにお断り」「薬でコントロールできない人はお断り」「集団生活になじめない人はお断り」あ〜、ばあちゃんはこれではダメです。怒りんぼでたたくは...80歳すぎて集団生活になじめますか?」
藤井:質問という形でどうぞ。(あ、しまった)
すもも:はい。こういうことを言う施設のスタッフと、どう手をくんでいったらいいのか、教えてください。
そうまん:家族を支えるより、ます利用者です。利用者が望むことを一番に支える。次が家族。1.薬 2.暴力 3.集団になじめない ですが、3はおかしい。今、通っているところに、2人でも3人でもショートがあればいい。デイサービスで通い、顔なじみの関係になって、そこに泊まるから集団になじんでいることになる。(あかん。言い方が下手やった。理解されていない。話の焦点がずれた。富山とは違うのだ。うちの市は「本当に信頼できる小規模多機能施設が無い」また「ショートステイにしろ、デイサービスにしろ、家族を支えない施設が、スタッフが、利用者本人を支えられるはずがない。「小規模多機能施設なら」という発想しかないの?今ある大きな老健や特養の、なってない言い分を持ち出す職員と手を組むにはどうすればいいか、という闘い方を伝授してほしいのですよ。施設長としてどう思われますか?どう言うて部下を指導するの?あ〜、どない言うたら、通じるの?)
田中:線引きはしません。家族、つらいんですね。(そうです!)いろいろ介護保険になって、顔の見える関係...「家族会」を作り、いろいろやっています。(きらく苑でしょう?「西宮市さくら会」で見学に行きましたよ。資料代1000円でしたね。今も資料代、要るんですか?「家族会」って、きらく苑の家族会でしょう?普通、入所した人の家族会はあるものなんですか?デイサービスやショートステイの家族会はないのですよ。利用者の家族が横につながれないのです。一人じゃ言いたいことがあっても我慢してしまいますよ。「モンスター家族」と言われてしまいますもん。私?特異な存在ですね。あはは〜)
藤井:家族は弱い立場なんです。(そう!なんです。よう〜、言うてくれはった。拍手、するべきやった。書くのに夢中で、手が足りんかった。もう1本、あったらな。残念)代弁者が必要です。ケアマネがなって...(ききのがした)素朴な疑問ですが、そうまんさん、大変じゃないですか?
そうまん:大変ですよ。利用者もスタッフも...私は表に出ない、黒子として、かげで見ていて気を配るのですから。大集団で「風船バレー」と「カラオケ」は「やらせ」ですよ。(あらま、ずいぶん、だいたんに斬りましたね)歌ってる人だけ喜んでる、風船バレーは職員が喜んでる。うちではやらん。(そうですね。「のんびりと、お年よりのペースにあわせて」が、少規模のやり方ですよね。でも、答えになってない!「うちでは」なんて、きいてない。「富山型」を今すぐ作れない。「あかん施設でどう闘うか?」やで。でないと、今日、聞いているケアマネ君だって、明日からの活力にならない。だから、笑わへんし、拍手、せえへん。感性が足りないなぁ〜。聞いているほうも。)
藤井:「共生ケア」は「個別ケア」やればやるほど、職員、必要ですよね。「黒子」は「カメラ目線」でかかわり「赤ちゃんをだきたい」という、ばあちゃんの欲求をとらえる。
そうまん:富山では中学校区に1つ作ろう、と。今、県の人口が110万で、徐々に減っている。1万人に1つ、作る。今、52箇所ある。100か所になったら、建てるときの補助はなくなるかも知れない。
藤井:地域福祉施策として、誰でも緊急でかけこめるところを作る。
そうまん:NHKの取材のときに県の障害福祉課課長が「どうして『このゆびとーまれ』を支えたか?」ときかれ、「はじめは活動がようわからんかった。何を言ってもきかん。自分達は補助金、出さん。口を出さんと見守ろう。事故・町の評判・利用者から市役所に苦情がきたらやめさせよう。ところが3つともなかった」
藤井:りくつ、で、5分いただきます。兵庫県では何をしているか?きらく苑から報告してもらいます。社会的援助の必要な人。「認知症の親に、障害のある子どもがいる」これは縦割り行政では解決できない。「多問題家族」ですから...(すごい!ことば!行政のほうがよっぽど、多問題やわ。何を言ってるか、わかってるの?こんなこと、書いていいんやろか?なんか、命をねらわれそうや。もう、やめよう。発言しても、すれ違ったが、もう、言う気も失せた。ただ、今後の闘い方の参考にはなった。収穫、大!)