講演「お年よりも障がい者も介護職員もみんなが幸せになるために」惣万佳代子氏

(惣万さんは平成5年、富山県で初めての民間デイ「このゆびとーまれ」を設立された。のちに「富山方式」と呼ばれる)
(会場のライトを消そうとすると)暗くせんでいいです。みなさん、ねむってしまう。こんにちは。
(声の大きい、ど迫力の方ですね。でも、眠ってしなう、なんて失礼だよ。とっぱしから突っ込みたくなるのはなんでやろ?今日はなぜか、初めから攻撃的な私ですね。左の画面に文字が出てくる。もらった冊子にもある文章だ)
 私は3年前に富山県知事から「富山親善大使」を命じられました。富山県は認知度が全国第44位なんです。つまり、ビリから3番目。富山は持ち家率全国1位、仏壇所有率1位です。美人はおらん。働き者でよく日にあたるせいか、肌が黒い。肌は黒いが、腹は黒くない。
 皆さん、動物と人間の違いは何ですか?(会場のあちこちから答が出る)「人間は愚痴を言う」犬や猫っちゃ、老化現象は出る。でも、それをそのまま、受け入れ、愚痴は言わない。「人間は入れ歯をする」
 私が思うのは二つ。一つは「人間はユーモアがある」NHKテレビ「試してガッテン」の志のすけさんは富山出身の「落語大使」しばたりえさんは「ワハハ大使」室井滋さんは「○○大使」(ききのがした)
 みなさんご存知のきんさん・ぎんさん。きんさんは107歳でなくなり、ぎんさんは108歳でなくなった。あの方ち、ユーモアがあるでしょ?デビューが遅かった。98歳だったから。1回テレビに出ると100万円もらってますね。「儲けてどうするの?」と聞くと「老後のために貯金する」富山のある老人は「長野に行く」と言うので「何しに?」ときくと「ベランダ、見に行く」ラベンダーですよ。お年よりはカタカナ言葉に弱いですから。「ばあちゃんを泊めてくれ」と頼まれ、2週間あずかって、最後の日に送って行って「ばあちゃん、あしたから、まめでおってね」と言うと「小豆でおっちゃ」と返してくる。職員がバスを待っているばあちゃん3人を見ていると、バスが遅れている。「これ、ロスタイムやで」とばあちゃんが言う。ターミナルケアもユーモアでいかなくちゃ。
 二つめ「人間は親の介護をする」カマキリは卵を産むと親は死ぬ運命にある。人間は子どもを育てあげ、50歳になってもまだ30〜40〜50年生きる。それを政治家は「厄介」と言う。(そうだ、そうだ、と会場は言わんとあかんな。今日の会場は静か過ぎる。笑いがない。関西の笑いと富山の笑いは違うのかしら?)
 「このゆびとーまれ」は富山赤十字病院の看護婦3人が始めた。「なんで、自分の家に帰れんとが?たたみの上で死にたい」と言うばあちゃんの声で始めた。平成5年7月1日、明日が開所というのに利用者がゼロ。マスコミ、テレビ局3社、新聞社3社が取材に来ているのに、利用者がない。そのとき、来たのがお母さん。身体障害児のお母さん「この子が生まれて3年間、一度もパーマに行っていない。預けて行きたい」帰ってきたら、みごとなソバージュになっていた。お母さんだっておしゃれがしたいのよ。
 富山にも知的障害者の施設はあります。300人規模です。でも、同じ障害の人のコロニーを作ってはいけない。相乗効果が生まれない。豊かな人間関係の中でこそ育つ。
(この次に画面が出てこない。「パワーポイントが入ってない」と言われる。日本語では何というの?ハプニング発生?頼るな。口があるやろ。とその時、画面が出てくる)
「みんなが一つ屋根の下ですごすことは日本の文化である」最先端でも画期的でもない、昔からある光景だ。お年よりは赤ちゃんの顔を見ただけで笑顔が出る。「子どもがいるから気が晴れる」と言っている。