午前・分科会1・介護 ここが変だよ!? 大切な家族を守りたい。本人が望むサポートと家族の安心 (10:00〜11:40)

 司会は品田充儀先生(神戸学院大学法科大学院教授) 講師は鳥海房枝さんと安永道生さん。介護者は早苗さんと私。司会者の挨拶は2分、講師の挨拶も1分だった。介護者は10分ずついただいている。
 まず早苗さんから
 50歳で脳内出血になった夫を介護して17年目。人生80年から見れば、やっと半分という気持ち。
 在宅介護を支えるものは、2つあると思う。1つは介護保険のサービス。もう1つは「家族の会・さくら会」や「つどい場さくらちゃん」のような活動。介護者の心を支えるもの。
 今は週に2回のデイ、月に3回のショートを利用している。3年前に私自身が癌になり、夫は1年半、老健に入所。今はまた在宅でショートを利用しているが、私自身の健康に不安があり、精神不安定になると夫に響くようだ。
 今日は「ショート利用お断り」の話をしたい。「暴力をふるったからお断り」と言われた。暴力の理由を訊くと、朝食にロールパンが出た。夫には「こだわり」があって、このときは「食パンがほしい」と言った。「ない」と言われ、腹をたててけとばした、ということらしい。車椅子の夫がけとばしても半径1メートルだ。施設の窓口相談員は「120人の命を預かっている。それをおびやかす人は省かなあかん」と言う。
 利用の条件は「団体行動ができる」「暴言・暴力がない」「薬でコントロールできるならよい」
 「どんな暴力をふるいましたか?」と尋ねると「『お茶が熱いので氷を入れて』と言われ、入れてあげたら『3つでよいのに、入れすぎた』と言って手をたたいた」という返事だった。
 納得できないので、国保連に申し立てた。それは介護保険の無い時代から介護してきて、介護保険に期待していたから、よくするのも悪くするのも利用者である。利用者が言わないと、と思ったから。申し立てをすると、施設は「そんなことは言ってない」「そういうつもりで言ってない」の返事で、国保連は「書類がないので残せと指導しておきました」と言う。
 「さくら会」で県の国保連の人が来て講義があり、そのときに言うともっとひどい返答であった。私は「こういう場合に相手の施設と話し合う場を持ってもらえないか」と尋ねたのに、理解するどころか「あなたは何をしたいんですか?謝らせたいんですか?」と言う。私はけんかをしたいわけではない。そういう受け取り方が悲しい。
 
 ちょっと注釈すると、このときの県の国保連の人はこういう「家族の希望」という普通の意見を聞いたことがないらしく、私たちが一言言えば「クレーム」と受け取る。私が「普通は相手の施設と話し合って、うまくいくものです。でなければ泣き寝入りで、家族は人質をとられているので言わずにあきらめます。それを国保連に訴えるというのは、よっぽどのことです。それをわかって仕事をしてほしい」と言ったのに、まったく理解できなかった。理解しないし、キレる、こういう人を相手に戦うのは、よっぽどの覚悟と戦略がいる。
 笑い話。「さくら会例会」に市役所の担当の人が来てくれて、いろいろぶつけていたら、その場に「認知症の人と家族の会」の人が数人来ておられて、終わってから「すももちゃんておもしろいなあ。あんなことばんばん言って市役所の人は困るだろう」と言うから「大丈夫。こういう交渉係りの人は元々、人と争わない性格の人が選ばれている。第一、この部屋を出ると記憶を消すという特技を持っている」と言うと、びっくりした。用地買収の担当者と会ってごらん。すごいよ。