「響きあう脳と身体」甲野善紀×茂木健一郎 パジリコ株式会社 2008年

1.身体の同時並列性と科学
 「時系列の科学と、同時並列の身体」「信仰化する科学」「身体の同時並列性」「複雑なシステムは記述できない」「ロボットには意識がない」
2.欲望の力 
 「知」が人を足止めする」「火事場のばか器用」「『火事場のばか器用』を飼い慣らす方法」「リミッターを外す」「命に対する畏敬と生命の爆発力」「学びにルールはいらない」「遊びの中での学び」「興味の力 満たされない空疎」「方法論を産み出す学び」「常に『渇き』を求める」「社会のマニュアル化と言葉狩り」「世間にかかわる、世間から離れる」
3.身体を通した教育
 「感化力が教育の鍵」「個人としての有能さよりも、コラボレーションできる力を」「数学も理科も、歴史を通して、身体で学ぶ」「ノイジーな環境でこそ、子どもは育つ」「多様性は社会の豊かさ」「AかBか、ではなく、AもBも」「サイバースペースで活躍したければ甲野さんのところに行け」
4.同時並列的知性にむけて
 「限定が知を生み出す」「運命の定不定と、脳の偶有性」「有限の身体に宿る無限の可能性」「いかにミーム(文化的遺伝子)を伝えるか」「生身のアウラと情報のズレ」「ウェブ2.0の身体性 同時並列的知性にむけて」

 これは新聞広告で見て教え子に送ってもらった中の1冊だ。茂木さんはテレビでよく見る。甲野さんは古武術でらくに介護できるとか言う。これを旅のお供に持って行ったのは、本が大きくなくて軽くて、文字が大きいからだった。難しい話なのでまとめられない。私のいつもの例によって、気にいったところだけ書く。
 この本を持って行ったのは正解だった。甲野さんは「全体としての身体」を言われていると思う。それを追求していったら古武術になり、自分が軽く動けるようになった。結果として自分の身体を使って他人を動かせるようになったのであって、初めから「楽な介護術」を求めたのではない。
 だから三好さん「古武術のおじさんは、相手の気持ちを無視している」と言う必要はないと思います。
 もう一つは、まるごとの生身のその人に会うことはすばらしいということ。リアルタイムでその人に会う、ということは、文字でその人が書かれた書物を読むだけでは得られないものがあるということ。
 だから今回の旅で、自分の陣地でまるちゃんたちをまな板にのせて切っていく高口光子さんを見られたことがすばらしかったのだ、と、理解の浅い私は思うのでした。著者のお二人様、おかしな理解でごめんなさい。わからないところがたくさんあっても、面白い本でした。