ディスカッション1「これからの『小規模多機能ケア』のありかたを探る 14:25〜16:05

コーディネーター 日本福祉大学社会福祉学部教授 平野隆之さん
  舞台は向かって右から伊藤さん・飯島さん・東内(とうない)さん、真ん中に大きなスクリーンがあり、佐藤さんと平野さんの順である。平野さんが言われるには「私は大阪出身で日本福祉大学は愛知県にある。だから右は関東の人、左が関西の人」                                        
  平野さんはCLC名古屋研究センター所長だそうだ。CLCって何?「宅老所・小規模多機能ケア白書 2009」をご覧ください。CLCはコミュニティ・ライフサポート・センター。白書の8ページに挨拶を書いておられるのが平野さんで、12ページに年表がある。
  第1回研究フォーラムは1998年宮城県松島町で開かれ、その名も「全国痴呆症高齢者グループホーム研究交流フォーラム」である。ついで仙台市・第3回仙台市から「宅老所」が加わり、熊本市・ときて、第5回神戸市から「グループハウス」が加わり、宇都宮市長野市名古屋市倉敷市静岡市佐賀県武雄市、そして今回第12回から「地域サロン」が入った。これは従来、宅老所がその人のすべてを支えるという視点であったのが、今回は地域の力を利用する、その転換の年だということである。
  また「アメニティ・ネットワーク・フォーラム」とは例年滋賀県でこの時期に開催されていて、障がいのある人たちの地域支援を考えるものである。(が、私はこのときもまだその意味がつかめていない)

パネリスト 
  1.ゆいの里(栃木県)代表 飯島恵子さん「地域でつくる地域が創る地域密着型サービス」  まず「2008年3月2日・ゆいの里12周年記念事業」会場には各団体のブースが12。この日の「入り口」は「認知症サポーター養成講座」で小学生から97歳までの400人が学び、オレンジリングを手に入れる。(飯島さんは私たち会場に向かって「皆さん、オレンジリング、持ってる人、手をあげて!」「は〜い」と私も含めておおぜい手を挙げる。)お昼にはなじみ庵会員の地域高齢者の皆さん手作りの「けんちんうどん」と「お汁粉」を500人でいただく。午後のシンポジウムでは「障がいや病気を持つ人が地域で暮らすために私たちに何ができるかーこんなまちに暮らしたいーを共に考える」が「出口」そしてエンディングが参加者みんなの大合唱。
  2ページ目は写真入りちらし「NPO法人ゆいの里」合言葉は「ほっとすっぺ!」主に3つをやっている。1つは「介護保険事業」の「高齢者デイサービス デイホーム・ホットスペースゆい」「ケアプラン作成・相談 在宅介護支援サービスゆいの里」「ホームヘルパー訪問 ホームヘルパーステーションあったかいごや」。2つめは「介護保険枠外事業」の「デイホーム事業」「地域福祉活性化事業」。3つめは「街中サロン事業 なじみ庵」街中の空き店舗を活用し、地域高齢者の皆さんを主役とした地域の誰もが集える地域の縁側。
  3ページは「年表・ゆいの里のあゆみ」1996年3月に任意団体「デイホームをつくろう回 in 西那須野 ゆいの里」設立がはじまり。1998年8月に「在宅介護支援サービス ゆいの里」家賃5万円18坪の借家でスタート。そして最初の「12周年記念事業」に至るわけだ。
  4ページに「なじみ庵だより」営業日は祝日も含む月曜から土曜まで、午前9時から午後6時まで。ランチは月曜から金曜まで11時30分から14時までの日替わり定食。ブランチは土曜の11時から14時まで。「なじみ庵ってな〜に?」「生きがいづくり・介護予防はボランティアから」「高齢者の力によるまちづくりが合言葉!!手づくり地域福祉の居場所です」
  5ページが「なじみ庵 カレンダー2009年2月・3月」行事は節分・初午・春分の日。食べるのは、開拓鍋の日・しもつかれ作り・そばの日・男の料理キムチ漬け。教養は、転ばぬ先の知恵教室・物忘れ知らず教室・年金相談・般若心経を学ぶ会。趣味はオカリナ・ハーモニカ・大正琴歌声喫茶・キ−ボード・民謡・おりがみ・句・踊・昔遊び伝習会(カルタ・こま・お手玉)・押絵伝習会・布ぞうり・インテリア小物・牛乳パックで編むかご。
  やっていることが多彩である。それも地域のボランティアでやっている。コーディネーター平野さんが「サロン事業についてここまで話した人は初めてです。デイサービスではなく なじみ庵、公民館ではなく なじみ庵。」

 2.和光市保健福祉部長寿あんしん課(埼玉県)課長補佐 東内(とうない)京一さん「『地域包括ケア』を効果的に推進するための地域調査(地域アセスメント)について」  東内さんの報告書は細かい文字の分が5ページもあり、思わず、目がクラクラ、あとに大画面に写るパワーポイントとかに使うものが、要綱1ページに画面2枚分で19枚分もあり、また頭がくらくら...これでは要綱が分厚くなるはずだ。お役所さんだもの、硬い!よう読まん。苦手の部類に入る。  和光市は埼玉県の南部にあり、東京23区に隣接するそうだ。人口は約8万人、高齢化率12.9%。
  このようにどなたも「人口、高齢化率」と言われるので、ピンとこない私は聞く前から苦手意識になってしまう。しかし、実はこの方がすごかったのだ。勢いが違う。声も大きく、スピードもあり、迫力満点!すごいのひとこと。やっていることもすごいが、これだけの迫力で言われると圧倒され、聞きほれてしまう。「これが『市』という行政の方の発表だからすごいのだよ」と説明されてもまだピンときてないので、申し訳ないでした。
  ではパワーポイント「これからの小規模多機能ケア・和光市の亜長寿あんしんグランドデザイン」
  東内さんは「全国に呼ばれて行くが宅老所の人の前で話すのは初めてです」と言わる。「Only Oneの市をつくる」と言われた。それが2ページ目の「我がまちの介護・保険・医療・福祉などにかかるニーズ調査・分析(オールジャパンの制度と我がまち独自制度)」なのだそうだ。
  3ページ「健康わこう21計画」
  4ページ「地方分権介護保険 保険者の政策能力がポイント」は平成14年度の和光市の政策基本方針で「介護予防前置主義」元気高齢者の多い街にする。年をとっても農作業をしている地域があるでしょう。生活機能を落とさない、要介護4や5でも在宅でおってもらうほうが、結局は安上がりなのだ。
  5ページ「和光市の高齢者ニーズを充足する独自事業」市町村特別給付事業として 1.食の自立・栄養改善サービス 2.紙おむつ等購入費助成 3.地域送迎サービス費助成(これを福祉ではなく保険でやることろがみそ) 保険福祉事業として 1.スクリーニング調査(健康長寿100) 2.重点課題地区の地域調査 3.健康増進施設の利用補助
  6ページ「平均寿命の動向」平成12年は和光市は男性は78.9歳で県内4位、女性は84.8歳で8位だったが、17年には男性 80.2歳で2位、女性は86.7歳で1位。
  7ページ「認定者数の推移(介護予防効果)による軽度減少)介護予防効果で要介護度が下がっている。的を得た介護予防で「残存能力」が増えた。
  8・9ページ「和光市長寿あんしんグランドデザイン(地域包括ケア)」これは和光市の地図と「日常生活圏域設定」と地域密着型狡猾ケア事業拠点。
  10ページ「的確なエントリー(対象者の発見)」むむ 対象者?!だと!
  11ページから「介護予防スクリーニングシートの活用」「地域調査の実施」「閉じこもりの地域状況」「認知症リスク等の状況」「的確なマネジメント(QOL向上型」「保険者の地域出張所である地域包括支援センターでこの介護をする」 あと3ページ分は省略する。
  東内さんの話では「高齢化率の高い団地には全戸調査をする。ニーズと資源(ボランティア)の両方を掘りおこす」また「サービス担当者会議を15分きざみに市役所に呼んでやる」それと市の計画の説明のためには「出前講義」をする。6月には書く地域の老人クラブが総会をするが、もれなく行く」いずれもなみなみならぬ市の迫力を感じるものがある。
  平野さんが口を開き「あまりの勢いに会場がシーンとなりましたね」と言われ、笑いが起こった。「密着型を7割にあげたい、というのを初めて聞いて感動しました。積極的『誘導』というソフトがついたのが画期的です」
  宝塚市の佐藤さんは「こんなすばらしい行政があると『社協、要らんやん』と言われそうです。個別援助をシステムとして作るのがすばらしい」
  平野さんが再び「サポートする人を組織しようというのがうまくできた理由、どうやってサポーターを作ったか、教えてください」
  東内さんは「やる気のある人、この指とまれ、でやります。介護予防と認知症サポーターがそれぞれ30人近くいます。人が集まれば、さまざまなあつれきがある中で、それをコントロールできる人が行政にいることが必要です」
  話が難しく「あつれきが...」と言われてもわからない。しかし、市の「やるぞ」という姿勢と実行力に圧倒されるのだし「すごい所があるねんなぁ」で終わりそうだし...要綱の余白に「3時」と書き込んでいる。また「ゆいの里」の余白に「東内さんが『残存機能』と呼んでいるもの、飯島さんは『自己資源』と呼び『よもぎ摘んで、餅作って、3時には食っちゃうぞ〜』の力が、デイサービスだと我慢したりあきらめたり、になってしまう」と書き込んでいるので、どちらの方の発表が先だったのだろう?私の記憶力の不足。
 
 3.井戸端介護(千葉県)理事長 伊藤英樹さん
  「井戸端げんき」は本で読んだことがある。「要綱」には文字ばかり3ページ。画面を見たがもう忘れてしまった。要綱から拾う。
  「まだまだ始まったばかりのその短い歴史」は2002年5月に「NPO法人井戸端元気」立ち上げ。
  今やっているのは「井戸端げんき」(高齢者デイサービス)年中無休。千葉県木更津市。定員10名+α。スタッフでもなく、利用者でもなく、ボランティアでもなく、様々な立場の人が、何者でもなく、定期的に、不定期に訪れている。
  「共同民家 かっぱや」年中無休。誰でも泊まれる。要介護者は4000円。それ以外の方は原則として食事代と光熱費分ぐらい。定員は要介護者は4名ぐらい。夜間常駐スタッフは2名。食事を作ってくださる方が2階に住んでいる。
  「縁側よいしょ」(高齢者デイサービス、障害者自立支援法の基準該当生活介護・生活訓練)定員は10名+5名。男性が多く、ケアマネージャーに選ばれて来た人がほとんど。まわりが田んぼでふらっと訪れる人はあまりいない。
  「井戸端介護がやろうとしていることは至ってシンプル。今までどおりの普通の生活である。大切にしていることは、必要だと思われることを、まずやっていこうということ。必要なことを続けるための人材の確保、事業の継続と、実際に地域で必要とされる支援は、残念ながら綺麗にかみあうものではない。ぎりぎりのところで折り合いをつけていくバランス感覚が課題である。
 
 4.宝塚市社会福祉協議会兵庫県)事務局長 佐藤寿一さん「これからの小規模多機能ケアのあり方を考える 『地域での暮らし』には欠かせない『場』のつながり(ネットワーク)」  佐藤さんは「最後になって難しいところがまわってきました」と切り出し「でもでも、社協は、協力をするのに良いしくみです」と続ける。宝塚は我がお隣の市なのである。ところが私のまわりの介護者に聞いてみると「うちの市にはないのに、宝塚にある支援」というのがあるのである。
  宝塚市は人口225000人、89000所帯、高齢化率20.7%。「歌劇の町宝塚」なのに、市長が汚職で逮捕されたばかりだ。市民の皆さんには「お気の毒」だ。
  まず市を7つのサービスブロックに分け、行政が社会資源を整備、福祉分野については社協がソフト面を支援。
  次に20の小学校区単位にコミュニティ組織「まちづくり協議会」を作り、コミュニティ活動と福祉活動の実施支援をする。(助成、プログラムなど)
  宝塚市社会福祉協議会介護保険事業をしている。訪問介護2拠点、通所介護6ケ所(うち民家型小規模デイ3ヶ所)、訪問看護1拠点、居宅介護支援2拠点であるそうな。私の知人にも「社協のヘルパー」をしている人がいる。ほかにも「ちょこっとヘルパー派遣」とか「障害児・者日中一時預かり事業」なども書いてあり、これこそ先日のわが町の「介護者の集い」でお母さんたちがほしがっていたものだ。宝塚にはある。ということはわが町でもできるような運動をすればよいのだろうね。
  4ページ目のまとめ「暮らし続けることができる地域を作るために」は 
   (1)必要なケア資源が手の届く範囲にあること・・・*24時間対応可能なサービス  *住民と協働できるワーカー
   (2)住民の様々な活動が行われていること・・・活動の拠点、活動する人、それを支える財源
   (3)住民と専門職が協働するための場があること・・・一緒に受け止め、考え、解決できる
   (4)これらを支える専門職としての力量のあるコミュニティワーカーのかかわり
   

  これで4人のパネリストのお話が終わり、あとはまたいろいろ話し合いもあったのだが、忘れたというか、記録していない。小規模なら良い点が多いのだろうが、定員10人では行ける人が少ない。毎日違う人が利用すれば大勢の人が使える可能性もあるが、うちのばあちゃんのように要介護4になると、毎日でもデイかステイに行ってくれないと家業に差し障るのだ。ショートステイは大規模施設に行くので定員20人であり、とりやすいのだ。デイの定員10人では「明日、急に」と言っても頼めない。小規模というのは私から見ると「ぜいたく」と思う。グループホームは料金も結構高いでしょう。
  「地域」って何なの?と思う。ばあちゃんのようにぼけたら、自宅に住んではいても地域とのつながりは切れている。老人クラブには会費だけ納めて参加できていないし、訪ねてくれる人もない。施設の方が住みやすいと思う。その証拠に夕方になると「時間です。帰ります」と言う。