朝だ

 6時になるのを待って、ばあちゃんの身内に電話をかける。「え〜っ!8時になったら揃って病院に見舞いに行こうと相談してたんやで」と言う。私の親戚、夫の親戚、私の父の親戚...大勢いるのだ。友達にメールをして連絡をたのむ。通りがかりの近所の人にも言う。
 町内会長に電話をする。葬儀委員長になってもらわねばならない。
 檀家のお寺から「8時に枕経をよみに行く」と電話があった。隣に住むばあちゃんの姪っ子が来た。ご住職が来て下さった。
 帰られてから、ばあちゃんの弟夫妻・甥っ子・姪っ子がやってきた。「ばあちゃん、ええ顔しとる」と言いながら、私には「お前には長いことお世話になった。おおきに」と言ってくれた。「晩ご飯、買いに言ってるあいだに、ばあちゃん、死んでしまいました。さいごにそばにいてやれなくてごめんなさい」と言うと涙がぽろり。皆が「かまへん、充分や」と言ってくれた。なんか、ばあちゃんは叔父さん達から預かっていたような気がしたんだよ。赤ちゃんから育ててもらったから「お母ちゃん」なんだけどね...私と夫には父と母を見送る義務があるもんだから。
 隣に住む姪っ子が「ばあちゃん、生きてるときは、すももたちをえらいめにあわせて...こんな、ええ仏さんになって...」と言う。そこまで言わなくていい。別に「えらいめ」になんか、あってない。80歳を過ぎて、だんだんにぼけて、それが日常だったのだから。