「恋するようにボランティアを・優しき挑戦者たち」大熊由紀子著 ぶどう社 2008年

 この本は大阪の朝日新聞主催のフォーラムの会場で買った。フォーラムの終わったあとで、控え室に大熊由紀子さんをお訪ねして「『たたかうおばあちゃんが行く!』を書きました」と挨拶して名刺をいただいたのに、その時に『この本を買いました』を言ってサインしてもらえばよかったよ。残念。会える!と思っただけで舞い上がっていたかも?予期せぬ、というか、その「サイン」なんてのまで予想していなくて、頭の隅にも浮かばなかった。
(ミュージカルに出ている俳優の教え子にサインをもらうのも、じつは遠慮がち・・・で、そこはちゃっかり者のクラスメイトだった教え子の方が大胆だ。そうだ!もうすぐ、ミュージカル!『モーツァルト』がちょうど今、東京帝国劇場で公演中で、来年1月に大阪梅田芸術劇場に来る。私はもう予約している。このブログを読んでくださっている方も、よろしかったらお運び下さい。子役が上手で感激しますよ)

1.ボランティアするのは楽しい、されるのは・・・
2.真のボランティアは、自分がボランティアと気づいていない
3.ボランティアは、法律を超える、制度を超える
4.ボランティアは、伝染する
5.ボランティアがつながると、社会が変わる
 
 ボランティアって何? これを読むと明るくなる。私が知っている人があちこちに出て来て嬉しくなる。
 たとえば(2)には「過激な長老」日野原重明さんが登場する。その「過激な長老」という名づけかたがいかにもぴったりなのだ。講演で拝見した日野原さんはその通り!の感じだった。「スケジュールは百歳までぎっしり」なんて、すごい! 
 たとえば(4)の「『あの池田市』に生まれた、咲笑という居場所」 
 これは大阪府池田市。私の母校(高校)のあるところ。阪急電車で通った町。帰りに大学の敷地を通り、たまには学生食堂でうどんを食べたりしたところ。そこの小学校に男が押し入り、小学生を殺したところ。いつまでも言われたくはないが、でも、忘れてはいけない町。『天使になった子どもたち』を忘れないで、学校の安全を求めていこう。
 この「咲笑」は「さくら」と読むらしい。「地域で生活するこころの病を持つ方が、病状での悩みや生活するうえでの悩みをいい方向に解決できるように、また、あなたが今困っていることを相談できる公の施設」
 しかし、ちょっと違うのは「支援する側」がやるのではなく、同じこころの病を体験したメンバーたちが、「仲間の役にたつように」自分達でホームページも作っているところ。
 池田市の倉田薫市長は池田小の事件のあと、心の病を持つ作業所を激励にまわり、計画中だった「咲笑」のオープンを急いで、基本資産の約半分の490万円と年間約2000万円を市から援助する英断を下したそうだ。「通う所もなく孤立することが問題であり、こういう場を増やすことが事件を防ぐことにもつながる」という考えだった。
 やればできるのだ。ここでの活動はもとより、スタッフの採用もメンバー(つまり病を体験した人たち)が加わるというか「中心になる」。だから「何時間でもここに居たくなる雰囲気」なのだそうだ。自分が主人公なんだね。