被災・原発風評で障害者の職場も打撃

     市民福祉情報・オフィス・ハスカップより
 障害者が働く就労支援施設などが東日本大震災で大きな打撃を受けており、厚生労働省は7日までに、障害者施設に対する支援策をまとめた。
 これらの施設は、津波地震に襲われたうえ、福島県では、福島第一原発放射能漏れ事故や風評被害で、減産や休業を強いられているためだ。
 例えば、原発から約50キロ離れた福島県二本松市の施設「なごみ第2」。知的障害者ら10人が、県産大豆で豆腐を作っていたが、地震直後から先月24日まで、断水や停電などでほとんど製造できずに休業状態になった。25日に再開したものの、販売先の農協の直売所では、出荷制限などの影響で客足が戻らない。佐藤美穂所長(36)は「花見シーズンが書き入れ時だが、風評被害で、県外から桜を見に来る人はいない。豆腐作りに必要な水の放射能汚染も心配です」と肩を落とす。
 同県郡山市の「共働作業所にんじん舎」は、出荷が制限されているブロッコリー、クキタチナなどの収穫を見合わせている。農家ではないため、農協から「つなぎ融資」なども受けられないという。原発から20キロ圏内の同県楢葉町にある「ふたばの里」も避難中で、豆腐などの製造を休止している。県内には約100か所の就労支援施設があるが、半数は休業や減産を強いられているとみられる。
 このままでは施設の存続も危ぶまれるため、厚労省は、被災地の自治体に対し、要請があれば障害者施設の支援職員の人件費などを支給するように通知した。生産を休止していても障害者の相談活動などを行っていることが条件。ただ、収入が減る障害者の直接的な救済にはならず、施設の全国連絡組織「きょうされん」の藤井克徳常務理事は「障害者への賃金補填(ほてん)など根本的な対策を講じてほしい」と話している。
(2011年4月7日 読売新聞)