出前授業

 中間テストの日を利用して、特別支援学級は出前授業をしてもらった。
 一時間目はクリスマスリースを作る。
 リースの土台に、松ぼっくりや木の実や乾燥させたヤングコーンを貼り付けて行く。かすみ草のような小さなドライフラワーもある。それを配置して、ボンドで貼り付けていく。ドー!ッとボンドを出して塗る子がいて「多すぎる!」と言われている。
 みな、それぞれに個性的に仕上がる。
 二時間めは理科で石鹸作り。テーブルにはサラダ油、ペットボトルの白い液体、びーかーなど、水酸化ナトリウムのびん、卓上ガスこんろ。はかり。
 「先生、この白いのは何?飲める?」「飲めるよ。美味くはないけど」一体何だろう?
 先生はホワイトバードに材料を書く。石鹸の材料は油だ。「どんな油がある?」ときかれて生徒は「サラダ油」「オリーブオイル」先生が「そういうサラサラのをオイルと言う。他にも油があるよ。肉のまわりの白い所。あれは動物のファット。ラードは豚の油。ヘットが牛の油。石鹸に使うのは、サラサラの油だよ」
 まず、材料を量る。「白い液体は、今朝、お米をといだ、とぎ汁だ」と先生が言われる。とぎ汁かぁ?石鹸はアルカリ性。つまり、“あく”だから、か?灰じゃないんだ。
 とぎ汁を量り、ビーカーに入れる。水酸化ナトリウムを量り、少しずつ、とぎ汁に入れて溶かす。「これは毒やで。食べたら死ぬよ」と脅しながら、やる。「水酸化ナトリウムは毒やで。手についたら、溶けるで」手が溶ける?おどしながら、やる。生徒はなかなか上手に量って、入れていく。入れたら、にごる。
 次に油。サラダ油を大きなビーカーに入れて量る。鍋に移し、火にかける。温度を測り、先ほどの米のとぎ汁+水酸化ナトリウム液を加える。あとはひたすら混ぜる。重くなってくる。まだまだ混ぜる。生徒が順に混ぜる。温度が上れば、火を止めて、また混ぜる。蜜蝋を入れる。ミツバチが集めたものだ。「くさい!」と言っている。香料は入れない。
 1つの班は青黒い液体になり、もう1つの班は、綺麗な黄色だ。青黒いほうは、蜜蝋に不純物が混ざっていたらしい。
 こうして混ぜて、あとは、紙コップに注いでさます。1日あればさめるが、1週間は寝かせる。何ヶ月か寝かせて使うそうだ。
 石鹸の作り方はわかったが、手作り品ショップで、石鹸が高い理由がわからない。どの材料が高いの?
 授業が終わってから聞いてみると、私立高校の先生だそうだ。副校長先生も来られた。物腰の柔らかい、にこやかな先生で、学校内ではオープンスクールもするし、こういう出前授業もするそうだ。生徒を獲得したいという思惑もあるのだろう。生徒達には楽しくて良い経験だと思う。どうもありがとうございました。