「紫陽花の会」一人暮らしの老後の話と遠距離介護

 ヘルパーさんが言う。
 「このあたりに私はヘルパーに来ていたことがあるのよ。まだ介護保険がないころの話。
 坂を上がってその人のおうちに行くの。
 一人で暮らすのに、自分の手が届くところに必要な物を置いている。
 トイレに行くにも、一人で歩く工夫をしている。(丸い椅子を歩行器の代わりに使う、とか言ったな)
 昔の人はそうやって『一人で暮らす!』という気概があったよ。
 今はすぐに『便利な所に引っ越そう』とか、家族なら『施設に入れよう』とか、安易に考えるような気がする」
 そうかなぁ?「私も『年をとって住むなら、駅前でお店とお医者さんが近い所に引っ越ししぃ』とひとには勧めるよ」と言う。自分が赤ちゃんのときからここにいて引っ越しできないから、人には言うなぁ。
 そのヘルパーさんは自分のお母さんを「遠距離介護」していて、月に一度、高速バスで実家に帰る。
 ケアマネさんにプランを作ってもらって、ヘルパーさんやご近所見守りや離れて住む家族やら、みんなの力を借りて、お母さんは、住み慣れた家に一人で暮らす。
 お母さんはすねて文句を言う。
「実の娘と暮らしたい、帰ってきてほしい」と思う時もあるらしいが、では、娘が自分の生活をストップして田舎で同居したと仮定して、親子がずっと一緒にいて幸せな時ばかりがあるか?というと、それはわからない。煮詰まるときも出てくるかも知れない。
 聞いているみんなは「遠距離介護」「一人で暮らす」「住み慣れた家」がおぼろげにわかる。
 「わぁ、今日は勉強になったわぁ」と言う。そうなのよ、「紫陽花の会」に来れば、必ず、勉強になる!