大工さんたちが帰る。ばあちゃんに乗り込まれないように、車はばあちゃんから見えない位置に止めてある。かしこい、かしこい。ばあちゃんはご飯・お風呂で、寝てしまった。助かった。

ばあちゃんがドアノブをガチャガチャして、ねじ山がゆるみ、鍵はドアノブごとはずしてあった。いつもの大工さんたち二人組が仕事の帰りに修理に寄ってくれた。「やっぱりやったか〜！いつか壊すだろうとは思ってた」と笑う。そう、笑ってごまかせ、介護家族…

「紙一重ですよ。私だって、ばあちゃんを殺しかねませんよ」と私が言う。若い彼は「そこを思いとどまるのが、理性でしょう」と言う。 理性？そんないいもんじゃない。たまたま運がよかっただけだ。ほんの偶然だ。 罪を犯すか、思いとどまるか、は、理性なん…

天気予報は「曇り 所により雨」だ。雨が欲しいかも？ 種まきだ。「２４日の地蔵盆に大根・人参・白菜を蒔く」とばあちゃんに習ったのだ。同窓会で家を留守にするときは種まきも植え替えもできない。水やりができないからね。会が終わって、２６日の夕方から…

雰囲気がおかしいのに気づいたのは、ばあちゃんを玄関から外に出してからだった。つかまえなきゃ、とあわてて裏口に鍵をかけ、表にまわろうとすると、赤い車が２台、徐行して東に去った。 ばあちゃんは車に乗り込もうとしている。いや、もうおおかた乗ってし…

ばあちゃんはまたも怒って帰ってきた。トイレに行かせる。 手に何かを握っている。いつものトイレットペーパーだろうと思って見ると、おやつにもらったバームクーヘンだった。またか！このごろ、ミニカップゼリーを２回、クッキーを１回、と、おやつを持って…